「NPO法人・やすらぎの里」ができました。
  ご存知のように、私たちは、患者会です。これまで、患者会を存続させるだけのために、「前進友の会」「山科やすらぎの里・共同作業所」「やすらぎの里を支える会」「NPO法人・やすらぎの里」を順番に立ち上げてきました。今回のNPO法人格の取得について、友の会のなかまがどのように考えているかを、月刊『むすぶ』(ロシナンテ社、2006年5月号)に寄稿しました。

 どこでもそうでしようが、ミーティングでは、反対・賛成に意見がわかれました。法人になれば、補助金という首輪に、さらに鎖がつく。なのに法人にならなければならないのか。なのに法人する理由は、「生き延びるため」ただそれだけです。なぜ、生き延びるのに法人にならなければならないのか。それは、「法人にならなければ、今後、行政からの補助金がでない」と、役人に言われたからでした。

 おおもとの理由は自立支援法が、去年の10月に成立したからです。それによれば、法人が「福祉サービス」を障がい者に売ります。その売られたサービスの代金の大部分を、行政が支払う。「福祉サービス」は事業を行政に認可された法人がすることだから、支払いは法人にしかありません。だから、行政が「法人格をとらなければ、今後、行政からの補助金がでない」と言ったのです。

 京都では、共同作業所と小規模授産施設に関して、自立支援法体制に移行するうえでの猶予期間が5年あります。この5年のうちに移行しなければならない。この5年間は移行しなくてもいいんです。ということは5年間は移行しなくてもいいんです。行政は「その移行のための説明会を、いつからやらなければならないとは思うんですが…」と言葉を濁します。まともに向き合う気はないんですね。やれば。、解決しようがない問題が溢れ出すから。

 だから、私たちは、この期限いっぱい、作業所の運営を法人に移譲しない。それが、私たちの自立支援法に対する、現時点での精一杯の抵抗です。                                     
 (文責・寺町 歩)



NPO法人に反対しました。理由は2つです。
 まず、ひとつは、患者会「前進友の会」が、共同作業所「やすらぎの里」になり、今度は、NPO法人「やすらぎの里」になる。それがいいのかどうか。エバッチなりに悩みました。そもそも僕が、「みんなの部屋」に来たとき、「やすらぎの里」が、99で、「前進友の会」が1になってしまった、という意見が、噴出し、「作業所」的部分と、「患者会」的部分が、絶えざる相克の場面に出くわしたのです。作業所になるにあたって、議論百出し、相当紛糾した挙句、「みんなの部屋」を、出て行ったなかまもいました。今回、NPO法人になるにあたって、そのときのような、議論になるようなパワーはもうありませんでした。
状況的にも、自立支援法のことがあり、議論している余裕すらありませんでした。でね、ひとりは、明快に反対すべきだと想いました。

 二点目は、NPO法人法自体が持っている問題を考えました。結局、どのように言おうが、善意に満ち溢れた人たちが、「市民運動を法人化できる」というメリットともいえんメリットと引き換えに、「結社の自由」を売り渡したということです。

 さて、NPO法人になる直接のきっかけは、自立支援法でした。反対運動が、大合唱しておりました。でも肝心なことは、これから自立支援法体制下で、自立支援法に反対し続けていくことです。僕たちはNPO法人になってしまいました。「毒を喰らわば皿まで」とは、言いますまい。NPOという、毒をあえて呑みこみました。皿までは、喰らいません。「やすらぎの里・共同作業所」が、自立支援法の「法内施設」になることを、ぎりぎりまで、引き伸ばしていくことが、セーカツの場での抵抗だと、想っています。

 そしてまた、医療観察法です。反対運動が、大合唱しておりました。でも肝心なことは、観察法体制下で、観察法体制下で、観察法に反対し続けていくことです。法の反対運動に振り回されることは、ありません。自分たちのセーカツの場から、反対し続けていきましょう。それには、自分たちの周りの病院を監視し続けることです。電気ショックが導入されていないか。四肢拘束がされていないか。大量に薬が盛られていないか。保護室がすぐに利用されていないか。看護士が「暴力《推進》プログラムを受講していないか。それらについて、自分たちの身近なセーカツ圏の病院を、監視し続けていくことだと想っています。

 NPO法人になったからといって、キーサンの牙まで無くなったというわけではないことをそのうちまた、明らかにすることがあるでしょう。「キーサンカチコミ」です。上記のような病院は、・・・・・・。もう遠くまで行くパワーは無くなりつつありますが、身近なトコロは、「前進友の会」のキーサンカチコミの標的になっていることをお忘れなく。とくに、こんどは、自立支援法をめぐって、障害区分認定や生活保護のことなど、なかまのセーカツを守るためのカチコミが多くなるかもしれません。

 今度のNPO法人化に反対して「友の会」の書記を初めて辞任しました。辞任してみて、「友の会」としては一人の会員、「やすらぎの里」としては一人の通所者、NPO法人としては一人の会員になって、また原点からやっていきたいなと想っています。

 キーサンセーカツを生き延び続けていくためには、なんといっても、「みんなの部屋」を維持し続けることが何よりも大切です。そう想います。NPO法人になって、まず、その基盤固めができました。これからです。
(文責・江端一起)

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