2004年9月00日

単行本 はじめに 
 鬼と怨念テロリストが棲むという

 この本「蔓延する電気ショックにキーサンテロを!!」は、キーサンの恐れと恐怖、ただただ、本当に「電気ショックはコワイなぁ」という想いから、「せめて電気ショックはやめさせたい」という想いだけから出発しました。ただ、それだけです。ただ、それだけのことが、なんでゲンジツのものとならないのか。逆に、なぜ再復活してしまうのか。もう、ぼくにはわかりません。あれだけ『精神医療改革』を唱えた医者たちが電気ショックを廃絶しなかったのか。それどころか逆に、広げようとしているのか、ぼくには、まったくわかりません。この生の病者の声を、なぜ聞こうとしないのか、シンサツ室でも、びょうしゃの訴え、聞こうとしてへんやろ。このクソアホンダラが。

 『保安処分新法』には「反対」でも、なぜ『病棟機能分化』は「推進」なのか、『手帳』は「賛成」なのか、『社会復帰』なのか、ぼくにはわかりません。すべては『地ツヅき』のモンダイなのに、そんなことすら、わからないアホンダラになりさがって、エライさんに成り下ったのか。「電気ショック」、この響きには、日本のこれまでの精神医療にありとあらゆるモンダイの根元が聴こえてきます。逆に言えば、「電気ショック」という響きが、これからの日本の精神医療の行く末のすべてが聴こえてきます。「保安処分新法心神喪失者医療観察法」で予定される、まさしく高度に『機能分化』された施設で『情性欠如』の広汎な『発達障害』の非常に特異な『人格障害』者をどうしても『社会復帰』させるための高度医療の『治療』とやらの中味は?と言うことです。

 キーサンがキーサンであるというだけで、このキレイでカイテキでベンリでアンゼンな『シミン社会』とやらでは、もう「テロリスト」なのでしょう。その「テロリスト」を黙らせるには電気ショックを含めて『治療』して、『社会復帰』させるか、『コロす』か、『閉じ込め』ておくか、しなければならないわけです。「蔓延するキーサンテロに電気ショックを!!」なわけです。本当にキーサンがそのままキーサンなら、この日本の『シミン社会』とやらには、もしかすると『テロ』以上のものなのでしょう。ただ、その『テロリスト』もできるなら、もう『キーサンテロ』なんてやりたかないのです。ツカれるから。患者会のセーカツを大切にしたいから。でも、それを許してくれないのは、この『シミン社会』とやらに『復帰』させたがっているクソバカタレどもなのです。キーサンはキーサンのままで、この街で、この村で、ゾーリムシのように、鬼のように、テロリスト』ように、そのまま生きたいだけなのです。

 電気ショックを容認すれば、遠からず『ロボトミー』が復活するでしょう。「電気ショック」を「ECT」と言い換えたように、『ロボトミー』も言い換えるでしょう。なぜなら、欧米の精神医療福祉はいい、いいと言いつつ、日本に紹介してきた良心派改革派こそが、その良いとやらの制度と『適正手続』とともに保安処分を衣替えして持ち込み、電気ショックを衣替えして持ち込んだからです。今、欧米では『ロボトミー』が衣替えされて、大流行だそうです。『人権派改革派良心派共依存型医療従事者』と『当事者性看板型病者運動ボス』をブチコロシテやりたい。いつもヂゴクは善意で舗装された道の先に待っています。なぜ、地を這うような、ドロドロした病者の集まり「患者会」や、シンサツ室からはじめようとしないのか、ぼくにはわかりません。

 わからないことばかりのなかで、僕の中のキチガイの怒りと復讐ともどかしさ、怨念と、餓鬼畜生、魑魅魍魎が、鬼が、鬼畜が、心の奥底から、ドロドロドロドロと吹き出してきています。テロリストそのものです。そのうち、誰かをコロシテしまわないか、自分自身をコロシテしまわないか、心配です。患者会をツヅケテイク、それだけで、本当は、とても、シンドイのです。キレイゴトではないのです。「手帳」とやらをもたされてみたらいい、「生活保護」と「年金」でセーカツしてみたらいい、「医療券」で歯医者にかかってミタラいい、毎日毎日、このクスリを飲んでミタラいい、一度、電気ショックの器械のあるびょーインヘ入院してミタラいい、しまいくちにゃあ、ほんま、電気ショック医者ブチコロスゾ、ほんま。

 この本には、まさしく、鬼が、餓鬼が、畜生が、魑魅魍魎が、テロリストが棲んでいます。鬼や怨念や、そんなものとは、かかわり合いになりたくない読者には、この本はお勧めできません。それどころか、読んでも、しようがないと、企画責任者として断言します。そういう本なのです、これは。隣の棚に並んでいる「優しげな」「心の優しい障害者」「心の時代」「医療福祉先進欧米」モノでもお読み下さい。

 でも、「精神医療福祉伏魔宮殿」のなかで、なにが行われているのか、行われてきたのか、行われようとしているのか、「電気ショック療法」の名の下に何が行われているのか、今までの、そしてこれからの「精神医療福祉」をそして、キーサンの、病者の想いを、鬼や、怨念が棲んでいようとも、あるいは、餓鬼畜生、魑魅魍魎に取り憑かれようとも、読んでやるぞ、読みたいという方には、覚悟をきめた上で、是非とも、お勧めしたいです。是非とも、手にとってみてください。この本は、そういう本です。

 この本のそもそもの、元となったロシナンテ社刊「むすぶ」に六回にわたる連載「あなた方はわたしたちを騙し続けてきたのですね!今も続く電気ショック療法」を引き受けてくれはったキーサンナカマたち、編集部に感謝します。そして、こうして本になるにあたって、その連載を読み続け、原稿を寄せてもろうたナカマたち、編集部のみなさん、校正やパソコン作業をセーカツの中、友の会でやってくれたナカマたち、はんま、すんませんでした。おおきにです。

 「天上天下病者反撃」が発刊されて十年経ちました、いま、コレを発刊して、さて十年後を想いました。もう、これから先ナニができるやろかなぁー、そう想いました。しかもヤツラが、『無かった』ことにしたがっていて、「正史」から消したがっているのを十分ひしひしと、身ををもって感じています。聴こえてきます。でも、その『無かった』ことにしたい叫びや想い。『無かった』ことにしたいセーカツをし、そのセーカツから叫びをあげ続けも、キーサンのやり方やり続けてきた、キーサン患者会は、それでも、シャカイから嫌がられながら、ゾーリムシのように生き続けます。この本が、その証拠のひとつになってくれないかな、と想いました。どうやっても『無かった』ことにはできへんで、キサマらには。このドアホが。こんな患者会がいて、「電気ショックは嫌だ」と叫び続け、そして、ゴキブリのような医療従事者がいたことを、歴史から『無かった』ことにはさせへんで。この本には、そういう、怨念も棲みついています。激烈な『怨念』です。さんざん、宅間氏を利用しながら、宅間氏の叫びは、徹底して『無かった』ことにするために、素早くコロすヤツラや。口封じはできへんで。宅間氏は死んでへんで、おれのなかに、しっかり、魑魅魍魎として、生き続け、棲み続けてるんや。

 この本のすべての企画責任は江端一起個人にあります。この本を「電気ショック」を無理矢理かけられ、叩き殺され、痛めつけられ、記憶という人生のなかで、ものすごく大切なものを奪われ続けられたキーサンナカマすべてに捧げたいと想います。また、あえてですが、こう言わざるを得ません。『そして、これから、そのクルシミを、拡大して味あわさせられるであろう、すべてのナカマたちに……』。


2004年9月00日 江端一起
前進友の会
京都市山科区日ノ岡坂脇町7−5   日ノ岡荘二階みんなの部屋
рO75−591−7926 Fax7925

目次のページに戻る
inserted by FC2 system