2003年

病院調査の依頼状
 前略 
 私たちは、京都山科にある精神病者とその友人の会「前進友の会」です。

1976年11月に、当時貧困な精神医療と福祉に負けないで、地域で「共にいきる」事を目指して活動してきました。私たちの活動は今の精神病者への不当な差別・偏見をなくし、誰もが胸を張って生きれるように願っています。そうした中で、面会活動やアパートでの一人暮らしなどの助け合い、悪徳精神病院の告発などに力を注いできました。また1985年には、「やすらぎの里」と言う作業所も作りました。もちろん私たちの力のなさで多くの人たちが、命を絶っていったこともあります。しかし、何度となく会としての存続をかけて仲間の分まで生き抜くことを、目指してきました。人間として、病気や差別に負けることなく、地域で根を下ろしていき抜くことです。作業所では、単に社会復帰を目指すのではなく、自分らしく生き抜ける力をつけ、反公害の手作り石鹸作りに励んでいます。

 先日、驚くべき事を知りました。
あの「電気ショック療法」が、未だにおこなわれている、それも厚生労働省の医療点数では3000点と言う高額な療法としてあげられていること、また専門誌にも「安全な」有効な療法として症例まで乗っており、関東圏では大手を振って行われていることを知り、愕然としています。今、日本の精神医療はどこに行くのでしょうか。「医療観察法案」も参議院を通過し、成立目前です。私たちの未来は恐ろしいものです。

 私たちが関わってきた悪徳精神病院の中では「電気ショック」は、患者を抑圧し、言うことを聞かせるための暴力装置でした。かって精神神経学会でも、電気ショック療法を廃絶する事を、医者も患者も訴え、承認されてきました。そうした運動に関わられた「良心的精神科医」の方々は今はどうされているのでしょうか。これから、私たちが安心して、医療を、本音を言える医者はいるのでしょうか。本当に不安です。そうして命に関わることです。

 私たちはこうした不安を抱きながらそれでも、この京都の地で生きていきたいと想っています。そのためにも、私たちのかかっている医療機関、とりわけ入院できる病院の実態を自分たちの目で確かめたいと想っています。いつでも安心して休める病院は私たちには不可欠です。そこで、貴病院を訪問させて頂き、医療の内容を教えて頂きたく想っております。患者さんへの処遇も併せておしらせください。宜しくお願いいたします。

                           2003年5月

    前進友の会
                   京都市山科区日ノ岡坂脇町7−5
                   電話075−591−7926

──────────────────  病院院長殿

 貴病院の訪問をさせて頂き、院長に直接お会いして、お話をお伺いしたく想っています。また病院を見学させて頂きたく想います。つきましては、ご都合のよい日にちをお教えください。
6月15日までに宜しくお願いいたします。

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