オープンスペース街・日誌


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2002年5月F

5月26日(日) 「街」日誌

昼食は、沖ブリの味噌漬ほか  カセットラジオを1000円で買って
ご機嫌の田上さん
CDの内職をする
夕食はトンカツ トンカツマン・Aちゃん
 ようこちゃんのリクエストにこたえて、
チューやんがシュークリームを作った
ご機嫌なようこちゃん
2002年 厚生労働省交渉要望書

                    2002年5月27日

厚生労働大臣 坂口 力 殿

                 全国精神医療労働組合協議会
                代表 山本 真一

要  望  書

 貴省の日頃のご健闘に、心から敬意を表しますとともに、先般4月22日の事前交渉開催を深く御礼申し上げます。

 私達は当協議会の大きな活動の主軸の一つである「誇りある精神医療労働を獲得する」を実現為る為、発足当初より一貫して「精神障害者の人権の保障と適正な医療を受ける権利」を求めて、精神医療を改革すべく、努力を重ねております。

 さて、今国会に上程された「心神喪失者医療観察法案」は、精神障害者に対してのみ、科学的に判断不可能な「再犯のおそれ」をもって、不定期で長期にわたる拘禁を可能とする保安処分とも言える法案であり、その内容は医療より治安上の目的が主であると考えざるをえず、精神障害者への重大な人権侵害となるものです。

 また、法案が成立すれば、精神障害者への差別と偏見を助長する事も明らかであります。3月法案の公表の後、数多くの団体から次々と反対声明や意見書が提出されています。私達全国精労協も、4月27日、反対の声明を出しております。私達の仕事は、安心してかかれる精神医療の提供であり、治安の為の隔離ではありません。

 これほど廃案や慎重審議が求められている中で、論議検証も尽くさず、制定を急がれていることに私達は重大な危惧を抱いております。それは精神医療の充実とノ−マライゼ−ションに逆行し、貴省と私達が、長年に渡る交渉によって積み重ねてきたものを、根底から崩してしまうものであります。

 この様な状況の中、貴省におかれましては、精神障害者の権利の擁護と精神医療の充実のために、今後一層の改革を推し進めて頂きたく、以下の事項を要望させて頂きます。

1.入院者の処遇と権利の保証及び通信面会の自由について。

 1)「心神喪失者医療観察法案」について

 今年3月19日、精神障害者団体などの新法制定反対署名提出の際、松本精神保健福祉課長が、「将来にわたる再犯の予測」について、「法案37条の2項の条件があれば一定の範囲で再犯の予測が可能」と発言しているが、「一定以外の範囲では再犯予測が困難」とも述べている。科学的な根拠に基づかない「再犯のおそれ」で隔離収容することは「保安処分」であると考える。以下の見解をお聞かせ頂きたい。

 a.一般刑事犯の再犯率よりはるかに低い精神障害者にだけ、なぜ特別な法律を作り処分を行わなくてはならないのか。

 b.再犯を科学的に判断できるとする根拠はあるのか。

 c.予防拘禁で無いという根拠はなにか。

 d.「指定入院医療機関での特別な専門治療」とは隔離拘束と管理強化以外に何を考案されているのか。

 2)現状の司法施設での精神医療が保障されていないと聞き及ぶ。貴省の見解をお聞かせ頂きたい。

 3)「心神喪失者医療観察法案」は「精神障害者は危険」という差別的偏見を助長するものである。これは、生活地域での治療の保障などを求めた国連原則1993年の「『差別・区別をしない』『地域でともに暮らす』『一般医療と同等に』」に反してはいないか。貴省の見解をお聞かせ願いたい。

 4)精神障害者に対する司法と精神医療の問題では、安易な簡易鑑定や起訴便宜主義の問題が指摘されているにもかかわらず、その運用の見直しさえされていない。

 又、精神科特例と隔離拘束の、日本の差別的な精神医療政策が膨大な社会的入院と毎年発覚する不祥事に見られる人権侵害を生み出している。

 今、正に必要なことは、貴省もこの間、率先して取り組み、努力して来られた、地域を含む精神医療と福祉の充実であると私達は考えます。

 「心神喪失者医療観察法」はこれらの事に全く逆行するものであり、廃案にするよう、貴省が働きかけを行うことを求めます。

 5)病院不祥事の防止について

 a.人権擁護に関する監査では、予告しての立ち入りでは、実態隠しによって、その把握が困難であるため、予告無しの立ち入り検査や精神科オンブズマン制度の普及 を進めて頂きたい。

 b.東京都町田市の上妻病院の問題について、その後の経過を報告して頂きたい。

 6)精神医療審査会について

 精神保健福祉法の人権擁護システムである精神医療審査会は、権利の告知と公示とともに、公衆電話が自由に利用できることが必須の条件である。ところが閉鎖病棟の8.7%に公衆電話が設置されていない。これは違法状態に等しい。前年度報告の6%より更に後退している。

 a.根本的な解決として精神病棟内には公衆電話の設置を義務化とし、未設置の場合 診療報酬をマイナスするなどペナルティ−を科して頂きたい。

 b.以前未設置の病院名を公表して頂きたい。

 c.病棟内の公衆電話の設置は、ナ−スステ−ションとは離れた、ホ−ル等、通信内容のプライバシ−が守れる場所での設置の義務化を行うこと。

 d.この間一貫して取り組んできた、カ−ドが使用出来る公衆電話の普及に更に強力 に取り組んで頂きたい。

 e.精神医療審査会の電話は他の業務と兼用とせず、専用線とし、専任者を置くこと。

 f.精神医療審査会の審査期間が申請から30日以内に行われるよう、指導すること。

 7)今回の診療報酬改定で「精神科救急」については「都道府県あるいは精神科救急エリアでの4分の1以上の受け入れ」を条件としている。これは救急対応よりも措置入院対応を求めていると受け取らざるを得ない。
 これは、特別立法の特別病棟への誘導ではないのか。

 こうした政策は、精神科をその他の医療から遊離させ、総合的医療からますます隔絶させてしまう。むしろ精神科救急では合併症への対応が求められるケ−スも多く、総合病院に精神科を併設することや、充実させることが求められている。しかし、各地の総合病院では精神科を廃止する方向も出てきていると聞き及ぶ。
 貴省の見解をお聞きかせ願いたい。

 8)今年2月、東京の陽和病院に外来通院する患者さんが、沖縄旅行中に精神障害を理
  由に「全日空」の復路の搭乗を拒否された事件が起きた。航空各社の運行規則に、同様の精神障害者への差別条項があると聞く、貴省はこの実態をご存じであるか。
 事態を調査し、差別条項撤廃に向けて働きかけて頂きたい。

2.精神科特例の撤廃について。

 1)精神科の人員配置基準に、5年間の猶予期間が設けられたのは、「人手が集まらない」と言う理由であると聞き及びます。

 何故、他科に比べて看護者が集まり難いのか、それにつき、どの様に考え、どの様な方策をとれば良いのか。貴省の考えをお聞かせ願いたい。

 2)薬剤師の配置基準は、他科が70床につき1名なのに対し、精神科では150床につき1名という差別構造は、実際の薬局業務を行うさいには非現実的な数字であります。
 この特例の撤廃を要求致します。

 3)看護助手の人員数に対する、現在の診療報酬は、経営者の観点からすると、常勤雇
  用からパ−ト化を促進し、利潤を追求する格好な口実となっています。

 精神科における看護助手は、他科の助手業務以上に患者さんとの関わりが重要な仕事の一つであり、パ−ト化されることでの不安定雇用の弊害が患者サービスの低下に結び付くことは自明であり、重大な問題であります。

 さらには、労働問題としても、患者さんへの責任は同一な勤務をしていながら、賃金・待遇は差別されているという矛盾を生み出しており、この事態を「労使の問題だ」と片付けてしまわれるのは、患者さんに適正な医療の提供を指導する貴省の立場からすると、誠に不十分な所為であると言わざるを得ません。

 つきましては、昨年に引き続き、常勤で雇用でき得る診療報酬に改正して頂く事に併せて、「看護助手の雇用については常勤雇用が原則」もしくは望ましい、と言う指導を行って頂ける様、重ねて要望いたします。

3.社会復帰政策について

 1)生活訓練施設入所者の利用料について

 「生活保護を受給しながら生活訓練施設を利用している人が入院した場合、利用料の扶助はできない」と言う見解を出されたと聞き及んでいます。

 この見解は、利用者が入院した場合は、入院中の保護基準しか支給されず、日用品費の中から利用料を捻出しなければならず、憲法第25条の「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」に抵触していると考えざるを得ません。
 この様なケースの場合、利用料の支給をして頂く事を要望いたします。

 2)平成14年度は「障害者プラン」の達成年度でありますが、目標数値に対しての進展状況について、又、今後の方針についても、具体的にお聞かせ願いたい。

 3)精神科ケアマネージメント事業について、平成15年度より行うことになっていますが、具体的にどの様な事業をしていくのか、お聞かせ願いたい。

 4)市町村の事業として、ホ−ムヘルプサービス、ショートスティ、グループホームが本年度より行われることになっていますが、その進行状況をお聞かせ願いたい。

 5)精神科デイケア・精神科作業療法について。

 a.精神科デイケアを開く際には、専用の施設を用意することが義務付けられており、利用者一人当たりに用意する広さが定められている(大規模デイケアーは一人当たり4.0m2、小規模及びナイトケアは3.3m2)。

 東京都の指導によると、この基準は、専用施設内の各小部屋等の利用法にも適用され、その結果、例えば12m2の部屋には一時に3人以上入ってはいけない、とされると説明を受けた。

 このような適用であれば、小グループ活動を行う際には、誠に実情に合わない不適当な制約を受けざるを得ない。この様な指導は、貴省が行って居られるのか。見解を含めお聞きしたい。

 6)4月22日に行われた事前交渉で確認した「精神科リハビリテーションの一環としての喫茶プログラム及びバザープログラム等のガイドラインを再度確認をいたしたい。

 a.取り扱われる金銭が、プログラムを行う施設(病院等)の収益にならないこと。 
 

 b.医療行為の一環として位置付け「労働」にはあたらないこと。

 c.外出プログラムを行うにあたって考慮すべきことは、個々の利用者の精神科リハビリテ−ション上の必要性であり、「一周間に一回程度に止どめなければいけない」などの制約は無い、との理解で良いか。

 7)精神保健福祉士について

 現在精神保健福祉士に求められている業務が、診療報酬上に適切に反映されていない。又、長期にわたる社会的入院者を減少させる為にも、精神保健福祉士を必置として頂きたい。貴省の考えをお聞かせ願いたい。

 8)心理職に関して

 a.「臨床心理技術者」の総数の推移を年度別に示して頂きたい。

 b.「臨床心理技術者」の定義とその職種に求めるものをお聞かせ願いたい。

 c.いわゆる「心理職」の精神科に於ける必要性、役割をどう見ているのか、お聞かせ願いたい。

4.病院の食事について

 1)1,920円の内訳についてお聞きしたい。

 2)患者負担額の780円の根拠についてお聞きしたい。

 3)「収益事業」としての委託業者が医療サービスに入ることは、薬剤業者の問題として取り沙汰されている「薬価差益」と同等と認識するが、如何なものかお聞かせ願いたい。                   

                      以上


5月25日(土) 「街」日誌

2002.5.24発売
侵略と差別と抑圧の政治を撃つ!
ヨッシーとジュゴンの家
2ndアルバム 東京の空の下から
★東京・練馬「街」と沖縄・名護「ジュゴンの家」の2つのリサイクルショップで作っているバンド「ヨッシーとジュゴンの家」
 1stアルバム『なぜ沖縄に…』から1年、小泉政権の戦争国家づくりを再び撃つ!第2弾! 
2000・12『やんばる平和まつり』 2001・5名護市役所に向かって 2002・3 春闘集会
2002・2 名護市長選 喜納昌吉さんを先頭に市内デモ・集会で唄う
2002・5・6集会 37名でライブ。銀座デモ   2002・5医療観察法案反対、国会包囲
ヨッシー アリ

昼食の図。人が多いので、
一階が6人、2階は8人で食べました。
ボランティアの斉藤さんから、
手作り野菜の差入れ m(__)m
午後、何やら内職をしています
 内職をする作業所に変わったのか?  新しいCDの完成 (^o^)丿  洋平君が最初に買いました
  明治公園での5万人集会
 入口に並んで、「ゆーじ君」を唄いながら、出来たばかりのCD『東京の空の下から』を売りました。
持って行った分、全て完売 (^o^)丿 予約も数枚入りました \(^o^)/
 しかし、一回のカメラでは収まりきらないほど沢山の人たちが参加していました。「こんなに多くの人が集まった集会、何十年ぶり」
有事法制=戦争法に反対する民衆が万余と集まりました。
   デモにはでないで、近くのホープ軒でラーメンを食べて帰りました。
 サ ギ リ 日 記 5/23
★今日はレコーディングに行った。初めての経験でしたが、「ゆーじ君」のコーラス隊に参加した。
 何日も練習をして来たので、本番ではあがらないで出来たと思います。
★冷し中華、生春巻の夕食を食べて、みんなと話し合っていた。そしたら「街」の前で、おじさんが
 「店の前を朝・夜と通るけど、戦争反対などの看板を出してカッコ付けるんじゃない」と騒いでいた。
 私は有事法制反対など、人間として正しいことをしているので、少し頭に来た。話の中で、朝鮮人に
 対する差別的な発言やデタラメなことを言ってるので、ハネやんが怒って詰め寄った。そのおじさんは
 本当にヒドイことばかり言っていた。店に入って話を続けた。ハネやんが「そういう人には心から怒ら
 なければダメだ」と言った。ハネやんは普段は優しいけど、何か理不尽なことがあると怒る。
 「怒らなきゃならない時」…頭に入れておこうと思った。
★8時過ぎにレコーディングの音づくりを終えたヨッシーとアリちゃんが戻って来た。夕食はステーキだっ
 た。私たちは「冷し中華、生春巻」、彼らは「ステーキ」…これで同じ300円なのーと思っていたら、
 ハネやんがもう一枚焼いてきたので、皆で分けて食べました。

5月24日(金) 「街」日誌

昼食は、クリームコロッケ&ハンバーグ、
ほうれん草パスタ・バジルソース他
 働く洋平君、Aちゃん
★「ヨッシーとジュゴンの家」2ndCD『東京の空の下から』のレコーディングを吉祥寺のスタジオで。ヨッシー、仁君、アリ&ようこ
ちゃん、サギリちゃん、サクちゃんの6人が参加して、無事に取り終わりました。まもなく完成するので、申し込みをお願いします。

「ヨッシーとジュゴンの家」
2nd CD 完成間近
1、ユージ君
2、こころ病んでも
3、さ・さ・さ・差別(欠格条項の唄)
4、命どぅ宝、未来へ
5、2001.9.11
6、あるクラスの出来事
7、間違っているぜ
8、東京の空の下から
9、ささやかな願い
 発売 「ジュゴンの家」
 1500円 先行予約受付中!
 レコーディングから戻ってきて、夜食を食べるヨッシー、アリちゃん。ステーキってス・テ・キ (^o^)丿
カツラの寄付があり、かぶる則子さん、ようこちゃん、アリちゃん

空はいつまでも青く Saku
空は 暗闇から だんだんと明るくなる
それは いつの時代でも同じだったのだろうか。
戦闘機の音で怯えたり、黒い雨が降った時もあった。

青空、それは、平和の証。

 戦争はイヤだ。
 子供たちの未来のためにも、
 青空を、いつまでも大切にしよう。
 何故かというと、それが、人間の仕事だから。

 サ ギ リ 日 記
★家を出て、チューやん・ハウス(女の館)で、則子さんと生活を始めてから数週間が経ちました。
 それまでは週に1・2回ぐらいしか「街」に来れなかったけれど、今は週一回の休日以外は、毎日
 来ていて、夕食の後も、みんなと話したり、色々な経験をしています。
 沖縄「ジュゴンの家」のウララちゃんに負けないぞ、と私も日記を書くことにしました。
ウララちゃんや皆と切磋琢磨していきたいです。
 「街」基金というものがあります。これは数年前に、「街」のメンバー間での、金銭のトラブルをキッカケに出来たできた
制度だそうです。個人的な借金だと、借りた側も・貸した側も人間関係がギクシャクしてしまう。近くにある共同作業所
では、金の貸し借りをした人たちは「退所」にされていた。「退所」、共同作業所を辞めさせるなんて、余りにも安易な
やり方だと思い、「街」では基金を立ち上げ、金銭的に困った人には、基金から貸し出すことにしたそうです。

 今の「街」では、その時に居なかった人も増えた事と、今月、生活に困った人が出たので、改たに、「街」基金委員会
を立ち上げました。私と、Aちゃん、ペチャンコ、サクちゃんが委員に、新カメさんが会計監査になりました。
「街」基金の名前は、「街」生活互助会に決まりました。
@「街」生活互助会とは、生活に困窮した場合、お互いに助け合う為に、お金を出し合って、貸し出すシステム。
A入会資格、入会費を払った人(主に、「街」の利用者)。
B入会金、一人3.000円を分割出資(最初はお金がないので、初回・1000円、次回から月300円)。
C利用方法、お金を借りる目的・返済計画を委員会に報告し・話し合う…
厳しく追及する。
D利用資格、「街」生活互助会入会者に限る。
  借りられる期間、およそ1ケ月間。
  一日の限度額…500円。1ヶ月の限度額…5000円。
Eなお、「街」を辞める時には、出資金を全額返済いたします。

 人から言われると断れなくて、すぐにお金を貸してしまいそうな私が、お金を貸すということが、どういう事なのかを
考える機会にもなります。

。                                  \│/
   。                                ─ ○ ─
    V..v              白  保  メ  ー  ル│\               May 23.2002
  >>∈∋<<    v..V                           。      No.26
""          >>⊂⊃<<                             .   .         。
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    <不可解な『カラ岳陸上案』>   鷲尾 雅久
 新石垣空港『カラ岳陸上案』が選定されたいきさつについては、『白保メール』No.8、12、13 で既に述べました(<『カラ岳陸上案』はどう決まったか>その1〜3)。
 一言で言えば、十分な判断材料が提供されず、評価基準も定めない中で、極めて主観的な「評価」がなされた、しかも、評価の理由が説明されることはないまま、「多数」で決められた、というものです。

[誘致派を黙らせて] 
 この経過の中で、不可解な点がいくつかあります。
 一つは、最終的に『カラ岳陸上案』と二者択一とされた『冨崎野案』については、地元に、ここへの誘致を図った人達がいましたが、なぜかその主張は軽視されたことです。さらには、この2案からの選定時には、主張を抑えるよう強要さえされたとのことです。

 地元が誘致するか反対するかは、大きな評価要素のはずですが、これではまるで、邪魔者扱いです。なぜそうまでしなければ、いけなかったのでしょう。

[いわくつきの土地]
 もう一つの不可解な点は、今回の予定地の中に、かつて土地ころがしが行われて地価が暴騰した土地が含まれていることです。

 問題の土地は、カラ岳の全体とその東側海岸線に近い部分に南北に拡がる、128ヘクタールの広大なものです。1989年4月、『白保海上案』が地元白保とサンゴ礁の保護を求める世論の前に撤回を余儀なくされ、その4キロ北に予定地をずらし、カラ岳東側海岸部に建設する案(今回の位置選定での『カラ岳東側案』)が出されました。これは陸上部分と海面埋立部分からなり、この土地は陸上部分の5割以上を占めていました。

 この土地は、もともと白保土地改良組合が石垣市から払い下げを受け、そのわずか1年後、不明朗な経過で一私企業の手に渡ったものです。

 これが1987年に別の企業に転売されたときは1平方メートルあたり400円だったものが、1989年2月にさらに別の会社に転売するとして国土利用計画法に基づく売買の届出がされたときには、5600円となっていました。2年で14倍の値上がりです。

 当時はバブルの末期、全国的に地価が高騰し、国土利用計画法の重点の一つは地価の抑制に置かれていました。通常なら、これはとうてい容認することのできない値上がりで、取引中止等の「勧告」がされるケースだったでしょう。

 しかし沖縄県は、「不勧告通知」を行いました。つまり、この売買は問題ないという御墨付きを与えました。さらに、この直後4月に上記の計画変更を発表しました。

 これに対し、土地転がしを容認したとの批判が出され、沖縄県庁内部から事前に情報がもれていたのではないかとの疑惑も生じました。

 一方、同じ土地は届出のあった企業とは別の企業に転売され(いきさつは、当事者でない私には知る由もありませんが)、こちらは国土利用計画法の届出がされていなかったため、問題となりました。業者は結局同法違反で有罪判決を受けています。

 以上の点をめぐり、県議会や国会で追及が行われました。土地買収交渉は頓挫し、この案での建設は結局できませんでした。

[『カラ岳陸上案』でも]
 この土地はその後、石垣市に本社を置く会社のものとなりましたが、今回『カラ岳陸上案』が選定される直前の2000年2月、これに50億円(1平方メートルあたり3900円)の抵当権が設定され、県議会で問題となりました。本土の企業が50億円を貸し付け、そのカタにこの土地を差し出させたというものです。

 金が返せなければ、貸主はこの土地を競売にかけて、その代金で貸した金を穴埋めするということですから、土地の買収交渉をするにしても、途中で相手が変わってしまうおそれがあります。それに、そもそも、この土地に50億円の値が付けられたことになりますから、相手もそう簡単に売るとは言わないでしょう。

 沖縄県は、2000年3月の県議会で、「用地の取得は公共事業損失補償基準に基づいて算定し正常な取引価格で行うことになる」と答弁し、位置選定委員会では、「抵当権を外してもらう」と述べています。
 
 『カラ岳陸上案』では、建設位置が南側に移ったため、問題の土地は空港予定地の1割程度を占めるにすぎません。もし買収されたとしても、とうてい50億円も手にいれることはできないはずですが、今回は、飛行の安全確保のためカラ岳を削らなければなりません。このあたりから補償の上積みを狙っているのでしょうか。また、空港隣接地としての開発も目論んでいるとしたら、うまいもうけ話になるのかもしれません。

 現に、位置選定委員会や地元調整会議の傍聴に、わずわざ関西から毎回のように傍聴に来ている人がいました。どちらかの会社の関係者でしょうか。

 十年前と同様のことが繰り返されているように見えます。

♪♪ 転載を歓迎しますが、著作権は各執筆者に属します。
    引用される場合は、執筆者にお断り下さい。
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白保メール NO.26  02.5.23
発行者   鷲尾雅久 谷崎樹生 小林 孝
      shiraho@estate.ocn.ne.jp

ピリカ全国実 URL 変更
ピリカ全国実ウエブサイト「ピリカモシリ」にリンクしてくださっている皆様:

このたび、URLが変更になりました。
お手数ですが、貴ウエブサイト上のリンクの変更等をよろしくお願いいたします。

■新URL;
http://www1.ttcn.ne.jp/~pirika/
(旧)http://member.nifty.ne.jp/pirika/
また、メールアドレスも変更になっています。

■新アドレス;
pirika_kanto@yahoo.co.jp
 (旧)bzm02202@nifty.ne.jp

なお、今後は更新頻度をさらに高めるとともに、デザインなども多少変更してリンクコーナーを設ける予定ですので、今後ともよろしくお願いいたします。

        ピリカ全国実関東グループ
       ウエブサイト管理人・石原慶太

5月23日(木) 「街」日誌

アリ&ようこちゃん、チューやんが杉並区役所での座り込み・署名行動に行きました。
 ↑ ↓ 午後から「街」の前でアピール
 やすらぎの里から洗剤が到着  差入れのブドウ
夕食は、刺身丼 食事の後に23日のレコーディングの練習

東京・下町患者会 新松橋亭同人(しんまつ) 
しんまつ・17号が更新されました。
http://shinmatsu.hoops.ne.jp/news17.html

読売新聞・山上氏の論点
きょう23日の読売新聞朝刊・解説面「論点」に、山上あきら教授の新法推進論が掲載されます。

「欧米諸国はみな触法精神障害者のための治療処分制度を持つ」
「精神障害者であろうとなかろうと、危険な犯罪を繰り返す者の処遇には安全を期すべきであるという至極当然な思い」
「最近いくつかの関係団体から、再犯予測の困難性を理由とする反対意見が表明されている。私は危険性など論ずるまでもなく、諸外国と同様、裁判で心神喪失と判定された者はすべて入院させればよい、と考える」
「1年前に生じた大阪児童殺傷事件は、犯人が過去に事件を起こして不起訴、措置入院となりながら治療の功なく重大事件に至ったもの」

個人的には、事実認識も論理も粗雑だと感じますが、雰囲気的な言い回しは上手で、一般には通りやすいかも知れません。

意見が大きく分かれている問題なのだから、一方的な主張(内容はもっぱら反対論への非難)だけでなく、
もう一方の意見もきちんと掲載すべきだ、と思います。

5月22日(水) 「街」日誌

昼食は、タカちゃん&ヨッシー作の肉じゃが 本多さんの差入れ、落花生 夕食は、カ・ツ・丼
有事法制法案、医療観察法案 廃案へアピール
ヨッシーが耳鼻科に行ったので、Aちゃんを中心に皆でやりました


署名とカンパを頂きました。

感謝 m(__)m

 最近、自衛隊機がやたらと飛んでいる。

えばっちからのメールで、二つのファイルが来ました。
「5/26京都集会ビラ」と「民主党の対案」をお送りします。
民主党の対案はサイテーです。
緊急抗議集会・京都
「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察に関する法律」
精神障がい者に対する差別と人権侵害
            長期拘禁・冤罪を許さない!!
        緊急抗議集会
日 時  5月26日(日) 午後2〜4時
場 所   日本基督教団  洛 陽 教 会 京都市上京区寺町通荒神口下る松蔭町141−2
発言者    坂根輝吉さん (当事者)・ 大杉光子さん (弁護士)
精神科医 (交渉中) 
各団体よりアピール
歌       鳥井新平さん (差別と戦うシンガーソングライター)
 
主催     京都精神障害者の人権を守る会
共催     バリアーフリー・ネットワー・めぐみホーム・醍醐教会・前進友の会
        西小倉めぐみ教会・愛隣ディサービスセンター・ほっとハウス
        日本基督教団京都教区宣教部・京都教区部落解放センター

連絡先     075−605−4210 (京都精神障害者の人権を守る会)
         075−612−0364 (めぐみホーム)

司法と精神医療の改革のための「民主党案」の概要について
2002年5月16日 民    主    党

司法と精神医療の改革のための「民主党案」の概要について


1 池田小学校事件の教訓
 被告人は過去に軽微な犯罪行為を繰り返し、精神病院への入退院等を経て、昨年6月に児童らの殺傷事件に至り、「責任能力あり」と起訴、係争中。

○ 被告人の過去の犯罪行為に対する検察の起訴・不起訴の判断、さらに検察段階での「簡易鑑定」や措置入院時の「措置診察」の判定が適切であったのか充分な検証が必要。

○ 従来から、検察段階での「簡易鑑定」が特定の精神科医に偏っており、起訴・不起訴の検察官の判断が恣意的に行われ、その後の検察官通報(精神保健福祉法25条)で、検察の意向を受けた措置入院の判断がされるなど、不適切な法の運用が現場から指摘されている。また地域精神保健福祉施策の立ち遅れや刑事施設等の精神医学的治療・援助体制の不備が指摘されているにもかかわらず、政府の対応は極めて不充分。

○ 池田小学校事件の被告人は起訴されているにもかかわらず、マスコミ報道によって「精神障害者の犯罪」として精神障害者を危険視する世論と応報感情が高まり、精神障害者への差別・偏見が助長。

2 政府案の問題点
 政府案は、従来から指摘されている司法と精神医療への疑問や問題に何ら解決策を示すことなく、しかも池田小学校事件の再発防止にならない。さらに「再犯のおそれ」という不確実な将来の危険性予測に基づく、不定期な予防拘禁(=重大な人権侵害)を可能とするもの。精神障害者への差別・偏見を助長するばかりか、本質的な問題解決を先送り。

3 民主党案の概要
民主党案は池田小学校事件の教訓や従来から指摘されている司法と精神医療に対する疑問や問題点の解決をめざすために、以下のように包括的・総合的な政策を提言。

@ 法改正事項(「司法精神鑑定センター」(仮称);裁判所法等の改正、「精神保健福祉調査員」「精神科集中治療センター」等;精神保健福祉法改正)
A 現行制度の運用改善(「措置入院指定病院の指定基準」の引上げ等の見直し)
B 精神保健福祉施策の改善と実証的調査・研究の推進(「精神保健福祉改善10ヵ年戦略」の策定と着実な実施、等)

※ 精神障害者に対する差別や偏見を助長しないよう配慮。「再犯のおそれ」の判定は科学的に不可能であり、また「重大な犯罪行為」の有無で区別せず、起訴前・起訴後の適切な精神鑑定と、あくまでも治療上の必要性から適切な精神医療を確保。民主党の「対案」の全体スキーム(案)
〜「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律案」(政府案)に対して〜

【法改正事項】
A 裁判所法および検察庁法の一部改正
○「司法精神鑑定センター」(仮称)の設置
目的: 起訴前・起訴後の精神鑑定の適正な実施。
内容: 裁判所法および検察庁法の一部改正により、鑑定人の候補者の選定事務、個別の精神鑑定に係る情報または資料の調査研究及び分析、等
※ 検察庁法の改正については、政令で検察庁に「鑑定センター」を設置するための根拠規定を盛り込む。

B 精神保健福祉法の一部改正
@「精神科集中治療センター」(仮称)の新設
都道府県知事により、国若しくは都道府県立精神病院、又は指定病院のうち、厚生労働大臣の基準に適合するものの全部又は一部を高度の医療及び保護を提供する医療施設として指定。

A「精神保健福祉調査員」の新設
精神保健福祉士、等から都道府県知事が任命。精神保健福祉法第27条第1項に基づく調査、判定委員会の求めに応じて、過去の病歴、治療状況、自傷他害の有無・内容、生活環境等を調査。

B「判定委員会」の新設
都道府県知事の指定する精神保健指定医2名による合議体。
指定医による診察と、措置入院、措置解除、退院等に係る判定を実施。
判定は委員の意見の一致が必要

C「社会復帰支援体制の強化」
都道府県等は、医師、精神保健福祉士、精神保健相談員、保健師、看護師、作業療法士、臨床心理技術者その他精神障害者の保健及び福祉に関する業務を行う者の相互連携を図るため、協力体制整備に努める。

D その他
施行日:公布の日から1年を超えない範囲で政令で定める。
その他、所要の規定の整備を行う。

【運用等の改善】
A 司法の分野
○ 政令改正により最高検察庁に「鑑定センター」(仮称)の設置。起訴前鑑定の適正な実施をサポートする。
○ 司法精神鑑定の適正実施(特に起訴前簡易鑑定を出来る限り制限)
○ そのことにより、起訴・不起訴を慎重かつ厳格に判断
○ 刑事施設等における医療、とりわけ精神医学的治療・援助の体制整備

B 精神医療の分野
○ 精神保健福祉調査員(新)、精神保健指定医の研修・相互交流等を通じたレベルアップ
○ 措置指定病院の精神保健指定医、看護スタッフ等の配置基準の引き上げ
○ ガイドラインの策定も含め、措置入院率、措置入院期間等の都道府県間格差の是正

【精神保健福祉施策の改善と実証的調査・研究の推進】

○ 「精神保健福祉改善10カ年戦略」の策定と着実な実施
新たな障害者基本計画と障害者プランの策定(平成15年度〜)と連動した「計画」策定と着実な実施を進める。
精神病床削減計画と並行して実施。
○ 「差別克服(アンチ・スティグマ)行動計画」の実行
 全家連および日本精神神経学会が取り組んでいる“手をつなごう心の世紀”キャンペーンとタイアップ。
○ 「司法精神医学調査研究会」(仮称)の設置
法務省、厚生労働省の共管。新たに設置される「司法鑑定センター」および「措置入院判定委員会」と既存の精神医療審査会等の参加・協力を得て、3〜5年かけて、司法と精神医療の現状を明らかにしつつ、実証的な調査・研究を行う。
2002年5月13日
司法と精神医療PT

「精神保健福祉改善10カ年戦略」(座長試案)
T 基本理念
ノーマライゼーションの実現に向けて、障害のある人もない人も、だれもが住み慣れた地域で当たり前の生活を可能とする「地域でともに生きる」ことを支援するとともに、「入院中心から社会復帰施設へ」という流れから「施設から在宅へ」と施策を転換し、人間としての尊厳が尊重され、社会の構成員の一員として、自らが主体的に生きがいをもって、健康で質の高い生活を営むことが可能となる社会をめざすことを基本理念とする。

U 基本原則
 憲法は、法の下の平等や健康で文化的な生活をはじめとする諸権利を規定している。国は、国民の権利として精神保健福祉施策を位置付けていくべきである(権利性の原則)。また、年金、医療、福祉(介護)、雇用などの社会保障制度全体で精神障害者の暮らしを支える必要がある。各制度の役割を踏まえ、制度間の連携を図り、国、都道府県、市町村のそれぞれの役割・責務を踏まえて、総合的・重層的な施策が展開されなければならない(総合性の原則)。そしてこれまでの入院を中心とする隔離収容政策の反省の上に立ち、「地域でともに生きる」ことを施策の目的としなければならない(地域性の原則)。さらに、自己決定の理念を尊重し、利用者自らのちからを引き出すエンパワーメントを高めていくことを支援することが重要である(当事者主体の原則)。
また、精神障害者の社会経済活動への参画を進めるためにも、政策決定過程への当事者の参画が重要である。国、都道府県等の審議会等に当事者が参画し、施策に意見反映できるようにすべきである(当事者参画の原則)。そのためにも行政情報を積極的に開示することが求められている。さらに閉鎖的な精神病院を開かれたものにするためにも、医療監視の結果などの行政情報を公開することなど、国民への説明責任を果たすべきである(透明性の原則)。
なお、精神保健福祉施策は他の施策と比較して立ち遅れた分野であり十分な財源確保が必要だが、より有効かつ効率的に施策を実施するためには、いわゆる「ハコモノ」行政施策から転換し、既存の公営住宅や民間賃貸住宅などの活用、介護保険制度との連携などが図られる必要がある。また、ニーズ調査や政策評価等によりこれまでの施策の効果を評価・分析したうえで、さらに新たな施策を展開することが重要である(実証性・有効性の原則)。

V 計画の7つの柱
国民の精神保健の向上を図るために
差別・偏見を無くすために
地域でともに暮らすために
社会的入院を無くすために
安心してかかれる精神医療サービスを提供するために
働くことを保障するために
教育や研究、マンパワーの充実に向けて

W 具体的な施策について
(1) 国民の精神保健の向上を図るために
@ 国民の精神保健の充実:国民一人ひとりが、生まれてから一生を終えるまでの生涯にわたる精神健康は、幸福な人生を送るために欠かせない重要なテーマである。とりわけ、児童虐待や家族内暴力、引きこもり、中高年のうつ病や自殺者の増加、痴呆性老人の増加など、精神保健は国民全体の重要な課題である。児童・思春期における精神保健施策の充実や「痴呆」等に関する調査・研究を推進する。
A 職場および地域におけるメンタルヘルス対策の推進:職場のメンタルヘルス対策が重要性を増しているが、リストラへの不安から企業内部の相談室には気軽に相談できない環境がある。そのため、精神障害等を理由にした不当な解雇を禁止するための啓発、指導・援助体制を強化や職場のメンタルヘルス対策を進めると同時に、地域における相談体制を整備する。また産業衛生行政と保健行政とが連携して、職場のメンタルヘルス相談室を開設し、安心して相談できる体制を整備する。
B 自殺防止対策の推進・強化:平成10年以降、毎年3万人台となった自殺者数の増加は、とりわけ中高年男性の自殺者数の著しい増加が原因であり、職場、地域におけるメンタルヘルス対策を早急に進める。同時に、精神障害による労災認定基準の実態に即した見直しを進めることや、自殺防止キャンペーン、自殺者の遺児への支援策も含めて具体的な対策を講じる。

(2) 差別・偏見を無くすために
@ 「差別克服(アンチ・スティグマ)行動計画」の策定と実施:ハンセン病の隔離収容政策同様に、これまで政府が進めてきた入院中心の隔離政策に対する反省・謝罪のうえに立って、たとえば、小学校からの教育課程を見直し、精神障害に関する教育を正規の授業に組み入れることや、差別と偏見を取り除くためのカリキュラムの導入、精神障害者と身近に接する体験学習の導入、偏見や差別を助長しかねない精神疾患の呼称の見直し、欠格条項の見直し等など、「差別克服(アンチ・スティグマ)行動計画」を策定し、国の責任において地方公共団体や関係団体などの協働で具体的な取り組みを開始する。
A 「障害者差別禁止法」および「精神障害者権利章典」の検討:障害者が社会のすべての局面で差別されないよう、個別の法令・条例・制度のあり方をより高い観点から監視する「障害者差別禁止法」を制定する。同時に、人権が軽視されがちな精神障害者を守るために「精神障害者権利章典」の制定を検討する。
B すべての精神病棟に「患者の権利宣言」を掲示し、安心の入院治療を保障する。

(3) 地域でともに暮らすために
@ 新「障害者プラン」の策定:障害保健福祉圏域ごとに数値目標を設定し、立ち遅れた精神保健福祉施策を充実させることが必要である。多様な利用者のニーズに応える多様なサービスメニューを盛り込み、新「障害者プラン」を策定する。
A 市町村による地域生活支援体制の強化:すべての市町村において精神障害者居宅生活支援事業を実施するとともに、精神障害を含めた「市町村障害者計画」の策定を支援する。あわせて、市町村に「精神保健福祉懇談会」および「精神障害者地域支援チーム」を作り、具体的な支援活動を行なう。また、24時間相談できる身近な窓口を設置する。
B ピアサポート事業の創設:精神障害者自身が、地域でさまざまな地域生活支援プログラムを立案・実施できるように「精神障害者ピアサポート事業」を新たに創設する。

(4) 社会的入院を無くすために
@ 社会復帰の促進と精神病床の削減:精神病院の平均在院日数は徐々に減っているにもかかわらず、我が国の精神病床数は34万床を維持している。いわゆる社会的入院、長期在院者の社会復帰は障害者プランの終了年度に当たる今日でも喫緊の課題となっている。退院促進事業を実施し、7万人〜10万人ともいわれる社会的入院の問題を早急に解決し、OECD諸国と比較して過剰な精神病床を削減する(「精神病床削減計画」の推進)。
A 介護保険制度との連携:介護保険制度との連携を進めると同時に、介護保険制度の見直しに当たって精神障害者を含む若年障害者への介護保険給付を検討する。
B 住宅政策の強化:社会復帰施設の拡充を進めると同時に、精神病院を退院し社会復帰を進めるうえで大きな障害になっている退院後の生活の場を保障するために、公営住宅や民間賃貸住宅を積極的に活用して、住宅を保障する。

(5) 安心してかかれる精神医療サービスを提供するために
@ 二次医療圏域での計画:精神病床の地域的偏在の是正、精神科救急医療体制の整備、外来医療の充実、地域保健福祉サービスの推進を図るために、精神医療提供体制についても一般医療と同様に、二次医療圏域での計画策定・整備を行う。
A 急性期等の病床機能分化:精神科救急医療システム整備事業は、利用者に身近な相談機能もなく利用しにくい現状にある。そこで、一般医療同様に救急車による搬送を行うことができるようにすることや、病院の空床情報などを情報センターに一元化するとともに、総合病院精神科が精神科救急医療システムの一翼を担うことなど進める。
B 一般・総合病院精神科の強化:受診の便利さ、敷居の低さ、身体合併症への対応などを考えると一般・総合病院への精神科の役割は重要であり、精神病床の必置を含めその役割と機能を強化する。

(6) 働くことを保障するために
@ 雇用対策と小規模作業所等の福祉施策の連携強化:福祉的就労から一般就労へと従来の厚生行政と労働行政の壁をとりのぞき、さらに連携を進める。
A 雇用義務制度の見直しの検討:障害者雇用促進法の改正を踏まえ、5年後には精神障害者についても法定雇用率の算定の対象となるように、ジョブコーチやグループ就労、障害者就業・生活支援センターの設置などの施策を推進する。
B 公的部門での先駆的取り組みの推進:雇用義務制度の対象とする実践的な取り組みとして、まずは国や都道府県等の公的部門において、精神障害者を積極的に雇用する取り組みを進める。

(7) 精神医療・福祉スタッフの教育、研究、マンパワーの充実に向けて
@ 教育・研修体制の充実:医師の臨床研修の基本科目に精神科を位置付けることや、精神保健指定医の研修に「精神鑑定」や「人権擁護」の研修科目を強化するなど、医師の教育、研修について充実する。
A 研究体制の強化:司法精神医学の確立と国公立病院を中心とするスタッフの教育・研修機能をあわせもつ司法精神医学研究所(仮称)を設置する。
B マンパワーの充実・確保:精神病床の人員配置基準の引き上げ、措置入院指定病院の指定基準の引き上げ、精神保健福祉士の養成促進および「臨床心理技術者」の国家資格化を進める。
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   精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部を改正する法律案要綱(案)
第一 精神科集中治療センターの指定
一 都道府県知事は、国若しくは都道府県が設置した精神病院(精神病院以外の病院で精神病室が設けられているものを含む。)又は指定病院であって厚生労働大臣の定める基準に適合するものの全部又は一部について、その設置者の同意を得て、高度の医療及び保護を提供する医療施設(以下「精神科集中治療センター」という。)として指定するものとすること。
二 都道府県知事は、精神科集中治療センターが一の基準に適合しなくなったとき、又はその運営方法がその目的遂行のために不適当であると認めたときは、その指定を取り消すことができるものとすること。

第二 精神保健福祉調査員の任命
一 第三の五による判定委員会の求めに応じて行われる調査及び第四の一の調査に従事させるため、都道府県に精神保健福祉調査員を置くものとすること。
二 精神保健福祉調査員は、精神保健福祉士のうちから、都道府県知事が任命するものとすること。ただし、特に必要があるときは、精神障害者の保健及び福祉に関して専門的な知識及び経験を有する精神保健福祉士以外の者を任命することができるものとすること。

第三 判定委員会の設置
一 第四の二、三及び五並びに第五の一並びに二の1及び3の判定を行わせるため、都道府県に、判定委員会を置くものとすること。
二 判定委員会の委員は、精神保健指定医のうちから、都道府県知事が任命するものとすること。
三1 判定委員会は、委員二名をもって構成する合議体で判定を行うものとすること。
2 合議体を構成する委員は、判定委員会がこれを定めるものとすること。
四1 判定委員会の判定は、合議体を構成する委員の意見の一致したところによるものとすること。
2 判定委員会が判定を行う場合(第二十九条の五の規定又は第五の三による指定医の診察が行われている場合を除く。)には、合議体を構成する各委員による診察が行われていなければならないものとすること。
五 判定委員会は、判定を行うに当たっては、判定の対象者の過去の病歴、治療状況、現在の病状、過去の自傷行為又は他害行為の有無及び内容、現在の生活環境等判定のために必要な事項について、精神保健福祉調査員に調査を行わせることができるものとすること。
六 一から五までのほか、判定委員会の委員の数、任命の手続その他判定委員会に関し必要な事項は、政令で定めるものとすること。

第四 措置入院の決定手続等の見直し
一 都道府県知事は、第二十七条第一項の調査を精神保健福祉調査員に行わせるものとすること。
二 都道府県知事は、判定委員会の判定の結果に基づき、措置入院の決定を行うものとすること。
三 都道府県知事は、判定委員会の判定の結果に基づき、措置入院の決定を受けた精神障害者についてその症状が重く高度の医療及び保護が必要であると認めたときは、その者の措置入院施設を精神科集中治療センターとすることができるものとすること。
四 都道府県知事は、第二十九条の二に規定する緊急措置入院の決定を受けた者については、精神科集中治療センターに入院させることができるものとすること。
五 都道府県知事は、措置入院の決定を受けた精神障害者の当該措置入院に係る病院への移送に係る行動の制限については、判定委員会の判定の結果に基づいて行うものとすること。

第五 入院措置の解除手続等の見直し
一 都道府県知事が措置入院者を退院させるには、判定委員会の判定の結果に基づく場合でなければならないものとすること。
二1 都道府県知事は、判定委員会の判定の結果に基づき、精神科集中治療センターでの入院が必要でないと認めた者については、他の国若しくは都道府県が設置した精神病院又は指定病院へ移送しなければならないものとすること。
2 都道府県知事は、1の場合においては、三による届出がなされている場合を除き、あらかじめ、その者を入院させている精神科集中治療センターの管理者の意見を聞くものとすること。
3 都道府県知事は、1の移送に係る行動の制限については、判定委員会の判定の結果に基づいて行うものとすること。
三 第四の三により精神障害者を入院させている精神科集中治療センターの管理者は、指定医による診察の結果、精神科集中治療センターでの入院が必要でないと認められるに至ったときは、直ちに、その旨、その者の症状その他厚生労働省令で定める事項を最寄りの保健所長を経て都道府県知事に届け出なければならないものとすること。

第六 定期の報告に係る事項の判定委員会への通知
 都道府県知事は、第三十八条の三第一項の規定により措置入院者に関し精神医療審査会に通知する事項を、判定委員会にも通知しなければならないものとすること。

第七 精神障害者に係る社会復帰支援者の連携を図るための協力体制の整備
 都道府県等は、精神障害者の社会復帰の促進及び自立と社会経済活動への参加の促進を図るため、医師、精神保健福祉士、保健師、看護師、臨床心理技術者、作業療法士その他精神障害者の保健及び福祉に関する業務を行う者の相互の連携が図られるよう、その協力体制の整備に努めなければならないものとすること。

第八 施行期日等
一 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行するものとすること。
二 所要の経過措置を設けるとともに、所要の規定の整備を行うものとすること。

司法精神鑑定センター(仮称)の設置に関する裁判所法の一部を改正する法律案及び検察庁法の一部を
改正する法律案骨子案

一 裁判所法の一部改正関係
 1 内容
   刑事訴訟の精神鑑定における鑑定人の候補者の選定事務並びに裁判官その他の裁判所職員の刑事訴訟の精神鑑定に関する研究及び修養に関する事務を取り扱わせるため、最高裁判所に司法精神鑑定センター(仮称)を置くこと。(14条の2として追加)
 
二 検察庁法の一部改正関係
 1 内容
  @ 改正内容
    検察庁に、政令で定めるところにより、検察官がその職務を行うことに資するために必要な機関を附置することができることとすること。(1条3項として追加)
  A @の規定の趣旨
    検察庁に司法精神鑑定センターのような機関を政令で附置することができるという一般的な根拠を与えるという趣旨の規定
 2 検察庁に置く理由
   鑑定人の選定をサポートすることは、一般的な検察に関する事務のサポートではなく個々の捜査のサポートということになるため、法務省よりは検察庁にやらせることが適当である。
 3 法改正が必要な理由
   検察庁は、国家行政組織法上「特別の機関」(同法8条の3)である。そのため、検察庁に司法精神鑑定センターのような機関を政令で附置するためには、法律で委任の根拠を与える必要がある(注)。
   (注)国家行政組織法において政令を根拠に施設等機関を設置することができるのは、同法3条の国の行政機関である。検察庁は、上述のとおり同法8条の3の「特別の機関」であるので、政令だけを根拠に機関を設置することはできない。
 
三 その他
 1 司法精神鑑定センターのスキーム
  @ 司法精神鑑定センターの業務
   T 鑑定人候補者の選定
   U 個別の精神鑑定に係る情報又は資料の調査研究及び分析並びに調査研究の成果及び分析の結果の提供
  A 精神鑑定人の候補者の選定手続のイメージ(選定手続は、最高裁判所規則や政令で規定)
    司法精神鑑定センター内に鑑定人候補者の案を作成する事務を行うための合議体の機関を設け、その合議体の機関の案に基づいて司法精神鑑定センターの長が正式に候補者として選定することとなる。
  B 司法精神鑑定センターの鑑定人選定の拘束力
    司法精神鑑定センターによる鑑定人候補者の選定は、裁判所及び検察官に対して拘束力を有しない。

 2 その他
   この法律案は、予算を伴う法律案となる。

政府案と民主党案との比較
政 府 案 政府案の問題点 民主党案
《立法形式》
○現行の刑法および精神保健福祉法はそのまま存続することとし、その上に新たな「強制医療手続法」を立法
○精神障害者の犯罪率や再犯率は、一般のそれより低いにもかかわらず、精神障害者のみを対象とし、危険視することでさらに精神障害者に対する差別や偏見を助長し、社会復帰を阻害することになる。
○精神障害者の他害行為は「初犯」が多く、被害者はその者の家族が圧倒的に多い。また未治療や治療中断が原因となっている場合が多く、立ち遅れている地域精神保健福祉施策の充実こそ根本的な解決策である。

《立法形式》
○基本的に現行法・制度の運用等の改善と裁判所法等の改正、並びに精神保健福祉法の一部改正で対応
※あわせて「精神保健福祉改善10ヵ年戦略」等で施策全体の底上げを提起。

1 目 的  心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者に対する適切な処遇を決定するための手続を定め、継続的かつ適切な医療、その確保のために必要な観察及び指導、病状の改善及びこれに伴う同様の行為の再発の防止を図り、もってその社会復帰を促進する。 ○同様の行為の再発の防止(再犯防止)を目的のひとつにしている。しかし、池田小学校事件の事例は、その後の精神鑑定で心神喪失等の状態にはなく、責任能力ありと判断されて現在裁判中であること。また同事例は、軽微な犯罪行為を繰り返した後に重大な殺傷事件に発展し、起訴前鑑定のあり方や検察段階の責任能力の判断、措置入院や退院後の相談体制など、司法と精神医療の現状に対して様々な問題を投げかけたにもかかわらず、政府案はこれらの問題に対して、何ら解決策を示していない。 (目的) ○起訴前・起訴後の適正な司法精神鑑定を実施して、起訴・不起訴のより適確な判断を支援する。 ○措置入院のより適正な判定及び適切な治療の提供、並びに社会復帰支援体制の強化を図る。

2 入院又は通院の決定手続  殺人、放火等の重大な罪に当たる行為について
○不起訴(心神喪失又は心神耗弱を認定)
○心神喪失を理由とする無罪判決
○心神耗弱により刑を減軽された有罪判決(実刑を除く)
○政府案は、重大な他害行為に限定し、心神喪失等で罪に問えない者等を対象にしているが、これは責任主義を基本とする近代刑法の大原則に反する。
○検察段階での安易でしかも特定の精神科医に偏った「簡易鑑定」に基づき、起訴・不起訴が決定されている現状に対して、何ら解決策を示していない。
○裁判を受けている者に対して、さらに地方裁判所で審判を受けることは、憲法で禁止されている一事不再理(「二重の危険」の禁止)に抵触する。 (対象等)
※重大な他害行為に限定せず、また「再犯のおそれ」を要件とはしない。
○あくまでも治療上の必要性に基づいて、精神障害者の措置入院等の要・否を判断。
《地方裁判所の審判》 ※処遇の要否は、裁判官と精神保健審判員(精神科医)の合議体で、その意見の一致したところにより決定する。精神保健参与員(精神障害者福祉等に関する専門家)の意見を聴く。
※検察官の申立てにより、審判を開始する。
※対象者には、弁護士である付添人を付する。 ※不起訴処分を受けた者については、対象行為を行ったこと等、本制度の対象者であることの確認を行う。

※鑑定入院命令を発し、専門家である医師が、心神喪失等の状態の原因となった精神障害のために再び対象行為を行うおそれの有無について鑑定する。 ※検察官、付添人等は、資料を提出し、意見を陳述する。

※保護観察所による生活環境の調査を行うことができる。

(裁判官の関与について)
○裁判官は犯罪事実の存否のほかに入院等の決定にも関与するが、精神科医が医学的な判断を行うのに対して、裁判官がどのような立場で何を判断するために審判に加わるのかが不明確であり、また実質的にどのように現状が改善されるのか不明である。仮に「治療の必要性」「社会復帰の促進」を根拠に処遇を決定するのであれば、裁判官の関与は不必要である。

○治療のために人身の自由を一定制限する適正手続を保障するために、地方裁判所で裁判官を加えた合議体における審判が必要であるとするならば、精神保健福祉法の措置入院や医療保護入院などの強制入院についても、裁判官の関与が必要である。

○「再犯のおそれ」の判定は困難であり、不確実な将来の危険性予測に基づき、事実上の無期限の強制入院を規定し、重大な人権侵害を招く。

○憲法31条以下の適正手続や裁判の公開の保障はない。刑事裁判で認められている反対尋問権・証人尋問請求権も認められていない。 ※司法と精神医療の役割を明確にしたうえで、適切な連携が図られるべきであり、民主党案は地方裁判所に入院等の決定を行う審判機能を持たすという考え方には立たない。 むしろ、現行法制度の枠内で起訴前・起訴後の適切な精神鑑定をサポートする体制を整備。

裁判所法等の一部改正
○「司法精神鑑定センター」(仮称)を設置。 鑑定人候補者の選定業務、鑑定結果の調査研究等、厳格な精神鑑定をサポート。
※起訴前鑑定については検察庁法改正で「鑑定センター」を設置。

《処遇の決定》
○医療を受けさせるために入院をさせる決定(入院決定) → 指定入院医療機関における処遇へ

○入院によらない医療を受けさせる決定(通院決定) → 地域社会における処遇へ
 ※決定に不服の場合は、高等裁判所に抗告できる。

○他害行為の有無や重大さによって精神科の治療内容が変わるものではない。精神医療の現場が直面するのは、いわゆる「触法行為の有無」ではなく「治療抵抗性」などであり、また重大事件を起したことによる退院後の社会復帰の困難さである。

○劣悪な精神医療の治療ベルの改善とそのための条件整備や退院後の地域生活支援体制の整備こそ、不幸にして事件を起した対象者の社会復帰を促進するものである。

精神保健福祉法改正
@「精神科集中治療センター」(仮称)の新設 都道府県知事により、国若しくは都道府県立精神病院、又は指定病院のうち、厚生労働大臣の基準に適合するものの全部又は一部を高度の医療及び保護を提供する医療施設として指定。

A「精神保健福祉調査員」の新設 精神保健福祉士、等から都道府県知事が任命。 ・ 精神保健福祉法第27条第1項に基づく調査 ・ 判定委員会の求めに応じて、過去の病歴、治療状況、自傷他害の有無・内容、生活環境等を調査。

B「判定委員会」の新設 都道府県知事の指定する精神保健指定医2名による合議体。 ・ 指・ 定医による診察 ・ 措置入院、措置解除、退院等に係る判定 ・ 判定は委員の意見の一致が必要

C「社会復帰支援体制の強化」 都道府県等は、医師、精神保健福祉士、精神保健相談員、保健師、看護師、作業療法士、臨床心理技術者その他精神障害者の保健及び福祉に関する業務を行う者の相互連携を図るため、協力体制整備に努めることを明記。

D その他 ・ 施行日:公布の日から1年を超えない範囲で政令で定める。 ・ その他、所要の規定の整備を行う。

3 指定入院医療機関における医療
○入院決定を受けた者は、厚生労働省令で定める基準に適合する指定入院医療機関(国公立病院)において、入院による専門的医療を受ける。

○保護観察所は、入院中の対象者について、退院後の生活環境の調整等を行う。

○裁判所は、対象者、保護者又は指定入院医療機関の管理者の申立てによって、退院を許可することができる。 → 地域社会における処遇へ ○指定入院医療機関の管理者は、原則として6か月ごとに、裁判所に対し、退院許可の申立て又は入院継続の確認の申立てをしなければならない。 → 退院許可の決定 地域社会における処遇へ → 入院継続の確認の決定

○「再び対象行為を行うおそれ」(再犯のおそれ)の判断は極めて困難である。特に「再犯のおそれがない」ことを立証することはなお一層困難と言わねばならない。しかも指定入院医療機関の入院期間に上限が設けられていないことから、不確実な再犯予測を前提にして、無期限の予防拘禁を制度上可能としている。

4 地域社会における処遇
○通院決定を受けた者及び退院を許可された者は、厚生労働省令で定める基準に適合する指定通院医療機関において通院治療を受けるとともに、保護観察所(精神保健観察官)による精神保健観察に服する。

○保護観察所は、指定通院医療機関、都道府県知事等と協議の上、処遇に関する実施計画を定める。

○保護観察所(精神保健観察官)は、対象者の円滑な社会復帰を図るため、関係機関及び民間団体等との連携の確保に努める。

○精神保健観察の下での通院治療を行う期間は、3年間とする(裁判所は、通じて2年を超えない範囲で、この期間を延長できる。)。

○裁判所は、対象者、保護者又は保護観察所の長の申立てによって、精神保健観察の下での通院治療を終了することができる。

○裁判所は、精神保健観察を受けている者につき、保護観察所の長の申立てにより、(再)入院決定をすることができる。

○保護観察所の活用は、対象者と刑務所からの出所者等を同一視するものである。たとえ精神保健観察官を新設・配置したとしても、それがシステムとして社会復帰の促進のためにどれだけ有効に機能するのか疑問。むしろ治安の維持という役割が期待され、治療的な関係の構築は困難である。

争議つぶしのための大刑事弾圧を許すな・兵庫
5月8日、兵庫県警公安3課は、関西合同労働組合成友印刷分会の分会長松田君を逮捕しました。成友分会では昨年9月以来倒産解雇攻撃と闘い、自主生産活動で職場を維持して闘って来ました。そして、雇用保険法に基づく、失業手当の仮給付を受けていました。仮給付とは、「係争が解決し、職場復帰したり和解などによって雇用期間中の賃金が支払われた場合には、受給した手当は返還する」と言う確認書を職安に提出して失業の認定を受けるという制度です。職場復帰を求めても、その職場がなくなっては復帰する場所もなくなるところから、自主生産活動を認めるものであり、倒産争議では幾多の闘いを通して勝ち取ってきた権利です。成友闘争では破産管財人もこの自主生産活動に協力するように債権者に働きかけていました。

ところが兵庫県警、検察、裁判所は、この自主生産活動が、「自営業であり」「雇用保険法違反・詐欺罪」だとして逮捕してきたのです。これは倒産解雇に対する争議をつぶすという目的のデッチアゲ逮捕に他なりません。小泉路線の下、労働者の争議権を一切認めないという弾圧なのです。この弾圧がまかり通れば、今後倒産争議は闘えないということになってしまいます。

全国の仲間の皆さん。すべての労働者民衆の力で、争議つぶしのための大弾圧に反撃しましょう。5月21日午後2時からの拘置理由開示公判に結集しましょう。同日12時15分から神戸地裁・検察包囲デモが闘われます。
詳細について、また激励先は、
関西合同労働組合兵庫支部 神戸市長田区御屋敷通6−4−9 電話078−612−3381

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