オープンスペース街・日誌

2001年9月そのA

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9月16日(日)

    またしても! 起きた 米兵強かん事件に抗議する
それでも基地は必要ですか?  三多摩集会&デモ
                               9月15日 午後2時開始 井の頭公園野外ステージ
 集会に、チュウヤン&洋平君、ミヤちゃん、ヨッシー、
ユッ君、ハネやん&則子さんの7人で参加しました。
 最初に命どぅ宝ネットワーク の大田さんが三線の
演奏を聴かせてくれました。
ロシナンテ社の四方さんがいました。 ジュゴン保護キャンペーンセンターの近藤さんを囲んで、
左、チュウヤン、右、則子さん
 高里鈴代さん(那覇市議)からのお話し  全交の長谷川さんが唄う
 フィリピンでの従軍慰安婦政策に抗議する刺繍  フィリピンから来たコンソンさんとアンバロさんが登壇
 プリモ・アンバロさんからの報告  辻つじ反戦流しでお馴染みの石原さんが唄う
 チャンプルー・ファイナル・ライブで「海どぅ宝」を唄って
くれた女性も唄う
 集会の最後に「ヨッシー&ジュゴンの家」が登場。
例によってしゃべるハネやん
 2曲の予定なので、「なぜ沖縄に・・・」とヨッシーの新曲を初披露。でもハネやんが勝手にアンコールをデッチ上げ、
「都知事様」も唄っちゃいました。
 新曲 『2001・9・11』
経済大国で暮らしている僕には 
アメリカで起きた悲惨なテロを非難する資格はない
金と暴力で世界を牛耳るアメリカ
その腰ぎんちゃく日本
あぁ僕らが望んでいる世界は こんなふうじゃないぜ
暴力に頼らない強さが欲しい 今こそ欲しい
かつて この国の人たちも同じようなことをした
日中戦争 パールハーバー 神風自爆攻撃
だから僕たちは暴力で平和は得られない事を知ってる
あぁ僕らが望んでいる世界は こんなふうじゃないぜ
暴力に頼らない強さが欲しい 今こそ欲しい
原爆を落とし 枯葉剤をまきちらし 劣化ウラン弾打ち込むアメリカ
だけど多くの市民が犠牲になるなんてたえられない事さ
あぁ この世界のあり方を変えなくちゃ 未来はないぜ
暴力に頼らない強さが欲しい 今こそ欲しい
違いを認め合う強さが欲しい 今こそ欲しい
武力による報復じゃ 何も解決しないぜ
そうだろう ブッシュさん
暴力に頼らない強さが欲しい 今こそ欲しい
今こそ欲しい ねぇブツシュさん
 「ヨッシー&ジュゴンの家」のメンバーにとっても初めて聴く曲
だったけど、洋平君は「ブッシュさん!」とハモってました。
 井の頭公園に遊びに来ていたケンちゃんが
ヨッシーの歌声を聞いて来てくれた
 デモに出るユッ君
 デモも楽しくやらなくちゃ (^o^)丿  途中で抜け出して、念願の回転寿司を食べた
6時から30人ぐらいで交流会を持ちました。
  アジアから米軍基地をなくしましょう!
  We shall over come!
  が・ん・ば・ろ・う (^o^) とアンバロさん。
 コラスンさんは、イシワキという100円ライターの会社の労組
委員長。会社が倒産し、保障をしない日本人社長を追及しに
来日。右端は、高里さん。とってもいい話を沢山聞かせてもら
いました。沖縄でもっと関わらせていただきたい人でした。
 右の写真の中央にいる人が、久美ちゃん。今回は、通訳として参加していました。「通訳・・・英語が出来る」ということで
早速、ハネやんはレッドカード・ムーブメントの通訳・翻訳家としてスカウト。とっても才能があって、その上、感性の素晴ら
しい人でした。今後ともヨロシク!

9月15日(土) .「街」日誌・ヨッシー
 昨晩、ハネやん&則子さんが東京に戻ってきたので、「街」日誌を再開します。
 9月10日 
 今日は朝から台風模様。なのに街でボランティアをやりたいという磯部さんが初ボランティアに来てくれた。嵐の中を東さんが賛助会費を払いに来てくれた。防災の日の写真を見て、「もし実際に災害が起きたら迷彩服で助けに来てくれてもわからない。自衛隊は災害救助するなら蛍光塗料をねったもっと派手な服をきるべき」といっていた。もっともだと思う。台風が近づいていて風が強いので店の外に商品は出さずになかでほそぼそと営業。ありちゃんとよーこちゃんは沖縄に無事に着いたんだろうか
 
 韓国全羅北道議会議員の李京海さんが小泉首相の靖国神社参拝と「つくる会」教科書の検定合格に抗議して8月14日から行なっている断食座り込みの写真をアリちゃんが拡大コピーしてくれた。それをパネルに張って展示しお客さんに訴えた。

 台風の今後が気になるので高ちゃんと新カメさんは午前中で帰宅。ちゅーやんと冨田さんはたまった事務仕事に没頭できたと喜んでいた。

 夕食は僕が作った。メニューはチキンフライともやし油揚げ炒めとえびシューマイとにらの中華スープだった。ミヤちゃんと2人でたべ、たくさん作りすぎておなかがいっぱいで苦しくなった。
 何なんだ、この仏像らしきものの写真は? 沖縄から戻って突然、この写真じゃ、コメントの書きようがない・・・
9月12日
・台風が去って今日はみんながそろった。久しぶりにえいちゃんもやってきた。
・ヨッシーとまことさんは豚レバーの竜田揚げ、もやしとちくわのおひたし、モロヘイヤと油揚げの味噌汁をつくった。妙子さんが昼食に  参加したがレバーが苦手だそうで気の毒だった。
・チュウヤンはお客さんに李京海さんのことや、アメリカでおきた飛行機激突事故について話していた。
・仁君やハウスで電気をとめられたユッ君がやってきた。ボランティアの田中さんと石川さんがきて手伝ってくれた。天カメさんも久々に やって来た。
・ミーティングではアメリカで起こった飛行機激突事故について話し合った。テロ行為は卑劣だがそうせざるをえない状況があるはずだ という意見がでた。もし戦争になって自分たちも参加せざるを得なくなったらどうするかについても話した。お客さんの日本に長いこと 住んでいるお客さんのオールソンさんは涙を浮かべながら自分の息子も海軍に行こうとしていた矢先に起こった事件にショックを受け ている様子だった。「アメリカの国民も戦争を望んでいない。戦争にはならないと思う。良い状況を想像し祈るべきだ」と語った。
・夕食はハオユーローペンと餃子入りスープだった。
・三線教室はカズくんと初参加の杉本さん(近所の塾の先生で前から三線をやってみたかった。琉球と書いてあるTシャツを着ている人 がうろうろしていたのでここでやっているのがわかったーどうやらありちゃんらしい)。泉さんも参加して生徒は全部で5人になり本当に 三線教室っぽくなっていた。
 三線教室  初参加の杉本さん
豚レバーの竜田揚げ、もやしとちくわのおひたし? ペチャンコが何かを作ってる図
9月13日
・今日は雨がしとしと降っているせいか、それとも昨日以来のアメリカのビル激突事件のせいか、めっきりとお客さんが少ない。
・昼ごはんは木曜日担当のペチャンコと冨田でおふくろの味シリーズ 肉団子汁とあじの干物に野沢菜のつけものだった。ぺちゃんこ  は肉団子汁のやさいを刻んで、とみたがあとを引き継いで作っているのをみて、私にもつくれそう!!といっていた。ペチャンコは木曜 日の夜のやきそば当番を引き受けてからもう2ヶ月もやりつづけており、徐々にそのちからをつけてきた。それまではレトルトばっかり と言っていたのに、実は包丁をにぎるととても器用で若い時は服部料理教室にも通っていたことがあるらしい。久しぶりにやってきた えいちゃんは「久しぶりにまともなものを食べた。」といって喜んで、ごはんどんぶり2杯と団子汁2杯食べていた。
・ミーティングでもジュゴンの家で話された「食べること」についてのミーティングを参考にみんなで話した。
 えいちゃんはしばらく名古屋などの飯場をまわっていく仕事に挑戦していたらしいが、その場所の過酷さ、特にたくさん食えりゃいい  だろーといわんばかりの食事のひどさについて語っていた。
 「街」の食事は一食300円だけどなぜおいしいか。自分たちで作るようになってどう変わったか。料理とは引き受けること。といった話 しになった。

9月14日(金) 9.17市民の緊急行動

民間人を標的にしたテロリズム反対 
米国の報復攻撃は問題を解決しない 
日本政府の戦争協力を許さない 
9.17市民の緊急行動


日 時:9月17日(月) 午後6時集合 6時20分出発
場 所:社会文化会館(東京都千代田区永田町1-8-1)

    地下鉄永田町駅 下車 徒歩5分
コース:社文〜国会前〜総理官邸前〜日比谷公園
主 催:9・17市民の緊急行動実行委員会

とりあえずの連絡先:八木隆次電話03-3592-7525(職場:社民党本部宣伝部)

戦争の危機が迫っています!!
■米国の貿易センタービルへのテロで、多くの民間人が亡くなりました。ブッシュ政
権はこのテロを「戦争行為」とみなし、テロ首謀者への「報復」を宣言しています。
また小泉総理は、米国の報復を支持する考えを発表しました。この機会を利用するか
のように政府・与党内からは自衛隊が米軍基地を警備できるよう自衛隊法を改定し、
来国会では有事法制を制定する声が上がっています。■私たちは、テロの犠牲となっ
た方々を心から追悼するとともに、いかなる理由があるにしろ民間人を標的にしたテ
ロリズムに反対します。同時に米国による報復攻撃はさらなる報復テロを呼ぶだけで
問題の解決にはならないことを訴え、強い自制を求めます。これまで米国が、イラク
やアフガニスタン、スーダンをはじめ世界中で行ってきた武力行使が、なんら国際問
題を解決せず、さらなる紛争・テロを生んでいることを米国は自覚すべきです。米国
の報復支持を表明した小泉総理に対してその発言の撤回を求めるとともに、日本は平
和憲法の精神にのっとり武力によらない問題の解決へむけたイニシアチブをとること
を求めます。■テロと報復の応酬を起こさないために、標題の取り組みを緊急に企画
しました。多くの皆さんの参加を求めます。
平和的解決を求める市民の声を!!

ハネやん&則子さんは、今日、東京に戻ってきます。


9月13日(木)

SUMHニュース・レター 
第2巻第1号(通巻4号)
2001年8月10日発行
途上国の精神保健を支えるネットワーク機関紙
<http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Ayame/3428/>
[編集・発行]
 途上国の精神保健を支えるネットワーク
1 到着1ヶ月のシェムリアップ
2 初めてのカンボディア・シェムリアップより
3 キューバ精神保健ケアシステム視察交流研修
4 キューバスタディーツアー印象記
5 キューバ・レポート
6 キューバ精神保健ケアシステム視察研修に参加して
7 SUMH 報告会 in 京都
8 ジェンダーと暴力という課題
9 カンボディア・スタデイツアー 案内
 到着1ヶ月のシュムリアップSUMH事務所から     2001年6月12日                                 手林佳正SUMHカンボディア精神保健プロジェクト現地代表

 連絡が遅くなりました。皆様お変わりありませんか?
 5月11日に成田で調整員の梅野さんと落ち合い、バンコクでの短時間の乗り継ぎもうまくいって、同日夕方にプノンペンに到着しました。日本の保健NGO=シェアのプノンペン事務所のゲストルームに約2週間、お邪魔させてもらって、政府へのNGO登録手続きや備品の購入、ローカルスタッフであるカモルとヒアックとの調整、運転手の雇用などを進めました。一時は、ここはSUMHプロジェクト・プノンペン準備事務所だ、などと冗談を言い合っていました。
一番の難物は、車両の購入でした。プノンペンから約350Km離れたシュムリアップへの国道6号線は、一部が名だたる悪路と聞いていました。そこで4WD車に限定して、中古車市場を見て回りました。経済的に限界のあるSUMHは、最初から新車に目を向けることはできませんでした。車は日本のほうが安く、途上国のほうが高いのです。紹介者を得て、保障期間の長い、ニッサン・パトロールを購入することができました。

 シュムリアップへ10時間をかけて、荷物を満載してやってきました。途中3ヶ所では橋が落ちていて、田んぼの中を迂回しました。そこではスタックしている車もいましたが、SUMH車両は強力でした。しかし昼食後に走り出してまもなく急に運転手のサラッが車を止めるので聞くと、パンクでした。それも左側の2輪ともです。持参の予備タイヤはひとつなので、すぐに修理する必要があって、タイヤを町までバイクタクシーで運んだりして、たっぷり3時間かかりました。興味深かったのは、車を止めて修理をしていたところの農家からマンゴーやスイカの差し入れがあったことです。日本で同じ修理をしていたらどうだろうかなどと、カンボディアの田舎に生きている、困った人を支える習慣が、ぼくたちをとても暖かい、うれしい気持ちにさせてくれました。その後約70Kmほどの、歩くようなスピードになってしまう悪路を通過して、シュムリアップに到着したのは暗くなってからでした。その夜は、予定していたゲストハウスに入り、日本とはちょっとちがう「カツどん」や「オムライス」という名の日本食?を食べて、日本初の精神保健NGOのシュムリアップ入りを祝いました。

 事務所探しは、ヒアックが探しておいてくれた物件は、町から遠かったり、広いスペースがなくて、新たなものを探すことになりました。不動産屋というものがシュムリアップにはないことがわかり、車をゆっくり走らせて、TO LET という掲示を探しました。まあ偶然の出会いから、現在の事務所を得ました。ベッドルーム3つ、事務所スペース、広いキッチン、2階に踊り場がある、ちょっと小さいけど、新築の一戸建てで、シュムリアップ川に面していて、小さい市場も横にあります。大家さんがヒアックの遠縁であることも後でわかり、SUMHという日本のNGOのぼくたちを気に入ってくれました。奥さんは、伝統舞踊であるアプサラ・ダンスの先生だそうです。

 今日からは、プロジェクト開始前に現状を把握するベースライン調査の話し合いに入りました。まあ実務の開始です。これからも応援してくださるよう、お願いいたします。

 この1ヶ月に直接にお世話になった人たちにお礼の気持ちをこめて、名前を書かせてください。吉村幸恵(シェア)、船橋敏(国際赤十字)、林民雄(JICA専門家)、パル・クン(林さん秘書)、余部徹(JVC)、サンカー(鴻池組)、林拓司(協力隊)、森本喜久男(クメール伝統織物研究所)、赤尾和美(アンコールこども病院)。
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初めてのカンボディア・シュムリアップより  調整員 梅野明恵
 初めまして。今回SUMHSUMHカンボディアプロジェクトの調整員となりました梅野明恵と申します。皆様へのご挨拶が遅れまして申し訳ありません。

 少し自己紹介さていただきます。私はこれまでNGOに間接的に関わったこと(NGOに関わっている友人がいる)はあっても、こうして調整員として直接関わるのは今回が初めてです。これまでにもいくつかのNGOの活動を国内外で見た経験はありますが、やはり見るのと実際にやるのとでは大きな違いがあるのだと感じています。また、カンボディアという国も初めて訪れましたので何もかもが初めての経験です。

 カンボディアに来てからのこの一ヶ月はめまぐるしく過ぎていき、気がつけばプノンペンからここシュムリアップに来ていたという感じで、まだよく実感がわいていないというのが本音です。
 
 カンボディアに来て最初に感じたのが「何事にも時間がかかる」ということです。NGO登録にもすでに一ヶ月が経とうとしている今やっと終わりに近づいています。シュムリアップに移り、事務所が決まってから電話線を引いてもらうまでにもかなり待たされました。それまで足繁く電話会社に通ったり、電話をかけたり(とうとう受付の人の携帯番号まで聞きだし、会社につながらなければそこにかけたりもしました)してもなかなか来てくれませんでした。カンボディアに来て一番印象深かったのがこのことでした。
ビザもすでに切れてしまい、現在NGOビザ切り替えに奔走しています。今日はビザ切り替えに必要な写真をプノンペンに送るためどんな方法がいいかスタッフで話し合った結果、日本人を探して写真を渡し、それをプノンペンにいる現地スタッフに渡してもらうため空港へ行きました。日本人観光客の多いシュムリアップですが、運の悪いことに今日のフライトにはなかなか見つけることができませんでした。やっと一人のビジネスマンを見つけることができ、その方も快く引き受けてくださいました。その後プノンペンにいるスタッフから電話で「受取った」という連絡が入るまではなかなか落ち着きませんでした。

 こうして書いているとマイナスの印象しかないように思われますが、よい印象もあります。それは周囲の人たちのあたたかさです。事務所の大家さん一家はとても親切にしてくれますし、あれだけ通いしつこくせかした電話会社の受付の人は「何か問題あったらすぐに携帯に電話しなさい。すぐに行ってあげるから」と言ってくれました。

 それにカンボディアは食べ物がおいしく、慣れるのにさほど時間はいりませんでした。
調整員の仕事にあまり関係のないことばかりことばかり長々と書いてしまいましたが、登録が終わればやっと実際に活動に入ることができます。私自身、まだ精神保健分野には知識もないので、これから始まるスタッフトレーニングで学び、考え、そして仕事を通してカンボディアに伝える私なりの「国際協力」ができるように頑張ります。

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キューバ精神保健ケアシステム視察交流研修  大賀達雄

1 視察の目的
 直接のきっかけは,手林代表が一昨年JICA(国際協力事業団)の短期専門家としてブラジルに滞在したときの経験から始まりました。ブラジルを始めとして、南米の精神保健ケアシステムは私達が予想をしていなかったことですが、キューバがモデルとなっていることを聞かされたのです。まさに政治体制を超えて,南米は社会主義国キューバの進んだシステムを取り入れていたのです。

 このキューバが切り拓いた地域精神保健ケアシステムは、地域内でその人を支え、また収容や薬物治療に強く依存しない特徴を持っており、今後の途上国における精神保健ケアシステム作りを考えるとき、先進的な実践であると注目していました。私達は、与えられた条件のなかで、持続可能な実践を具体化する工夫や、人間重視のモラルなどを、学びたいと考えました。こうした作業は同時に、いわゆる先進国,とりわけ日本の精神保健を見直し、また私たちの生活そのものをも見直す契機となると考えたわけです。

 ところで日本において、キューバの精神保健システムはあまりにも知られていないのが実情です。日本でキューバの精神保健の情報を得ることは殆どできないのです。1995年に「労住医連」の天明佳臣さん(港町診療所・医師)達がキューバ政府の医薬品支援の要請を受けて医療視察にでかけ、その時精神科医が一人同行した以外には精神医療関係者の訪問はないようです。そのようなわけで、南米の精神保健ケアのモデルとなっているキューバに出かけるのは、日本の精神医療関係者では初めての試みだと思います。

 キューバ革命は、史上前例のない平等社会を達成しているといわれています。「女男、黒人白人、党籍の有無などによる差別を認めない人民の平等性」(樋口篤三 2000)を実現しているわけです。従って、旧ソ連,東欧のようにノーメンクラツーラ(特権階級)は存在せず、国民の間ばかりではなく、国民と指導者の間も平等であります。
そのような社会において、精神障害者がどのように扱われているのかはとても興味あることです 

2 視察団の構成
 ホームページ等で公募して,結成しました。全員で6名です。
 
手林 SUMHの代表。心理療法士。
大賀 SUMHの事務局長。心理療法士。
川上 精神科医。精神病院の院長。日本のほぼ裏側に日本の精神医療事情とは全く正反対の国があり、キューバの精神医療     のシステム,大きなエネルギー,心の明るさに感動して帰ってきた。
山口 看護婦。海外のハンセン病を深く知りたいと、94年より笹川記念保健協力財団の派遣看護婦として、ネパールのカトマン    ズにあるハンセン病クリニックに駐在する。現在、大学院修士課程で看護学を学ぶ。
照内 精神医療ユーザーであり,患者でもある。世田谷にある共同作業所「クレージーキャッツ」のメンバー。ここで毎月行われて    いる音,言葉,出会いの即興イベントで司会をしている。自らもキ-ボードを演奏する。初めての海外旅行が、今回のキュー    バだった。
佐野 脳性小児麻痺等の全身性障害を持つ人のガイドヘルパーと精神障害者とのかかわりを持つ仕事をしている。大学で障害     者福祉を専攻。写真とオカリナ,詩の朗読等のパフォーマンスを時々実践している。

3 キューバの医療制度
 キューバの医療システムの概要(天明佳臣 1995)は次のようになっています。
キューバでは医療費は無料で、医療機関が3段階に機能別に類型化されています。

 第一段階のプライマリー・ヘルス・ケア−は、ポリクリニコ(policlinica)とコンサルトリオ(consultorio)に勤務するホームドクターによって担われています。この2つの言葉は,日本語では診療所に当たります。しかし,意味は少し違います。第一線はポリクリニコで、一人の医師が約120家族(700人前後)の健康管理と予防を行い,必要に応じて患者さんをコンサルトリオに送ります。ホームドクターは全国で25000人いて,これは全医師数のほぼ半数にあたります。もう一つのコンサルトリオはプライマリ・メデイカル・ケアも行い、ここには内科,小児科,産婦人科、精神科,総合科(medicina general integral)の外来があります。ただし入院設備はありません。総合科は、ポリクリニコの医師の相談、受診した患者さんの治療、地域内の保健活動,医師の研修等を行います。

 第二段階は,14の診療科を持つ総合病院で,コンサルトリオから送られてくる患者さんを診療します。これは全国に268ヵ所あります。

 第三段階は,専門分化した29から30の診療科目を持つ第3次病院です。全国15州にひとつずつあります。各州の患者さんの99.9%はここで対応できますが,0.1%は,ハバナ市のアルメヘイラス総合病院に送られます。ここは39の専門診療科目を持っています。

 キューバは、15の州(ハバナ市だけは州と同格)に分かれ,人口はおよそ1100万人(1996年)、そのうち65歳以上は12%、15歳以下は約25%、平均寿命は男性73.5歳、女性77.5歳です。乳児死亡率は、10.7人(対1000人)です。医療スタッフは,医師56、925人(国民195人に一人)、看護婦 75、279人、医療技術者65000人で、総数は約20万人です。

4 キューバの精神保健システム
私達は,キューバ保健省の担当者に会う予定でしたが会うことが出来ず、以下はDr.G.Barientos (ハバナ大学病院医師・教授)さん及びDr.J.Sotolongo(キューバ精神医学会・副会長)さんよりの情報です。

 キューバは,ソ連東欧圏の崩壊によって輸出入の3分の2が一挙に激減して、経済構造の全面的危機から、深刻な食料・社会危機に直撃されました。90年代前半に,「革命以来の最大の危機」(カストロ)に襲われたのでした。90年から94年がその時期に当たり、大衆的暴動の寸前まで至ったようです。経済成長率は落ち込み、93年はマイナス13.6%までなりましたが、観光産業等を初めとして、大幅なてこ入れを行った結果、98年には6.2%まで持ちなおしました。しかし,いまだにアメリカはキューバに対して経済封鎖を続けています。

 このような深刻な経済危機に見舞われたキューバですが、1994年に精神保健の専門委員会が保健省に設置され、1995年より精神保健の地域化政策と呼べる改革が始められています。これは、「精神病院を小さくするプロジェクト」で、精神障害者を地域の精神保健センターで見ていくプロジェクトです。

 95年に精神保健に関する国民会議が設置され、ハバナ行動が行われています。
 このとき95年から2005年までの10カ年計画が作られました。その改革の柱は2つあります。

 全国に community mental health center(精神保健センター)を設置することと、そこに mental health team (精神保健チーム)を作ることでした。

 精神保健センターは、439地区で設置が計画され、現在はすでに380地区達成されています。センターの主な仕事は、健康増進と慢性患者のリハビリテーションで、治療は主な仕事の中に含まれていません。また、mental health team は、精神科医、心理療法士、ソーシャルワーカー、作業療法士からなり、これを2チーム作る計画です。

 しかし95年からの計画はほぼ達成されたため、現在は2001年からの10カ年計画を作成中です。
 キューバの精神医療は、60年代に大きな精神病院が3つ、その他各州に1ケ所設置されました。
95年現在,キューバ国内には22の精神病院が存在しています。

 キューバの精神医療は,現在 bio-medico-psycho-social model (生物・医学・心理・社会モデル)に基づいて行われています。
キューバの精神保健に協力している外国としては、イタリアのトスカーナ州が、施設の改修,パソコン、薬の提供を,又スペインは,医療従事者の質を高めるための教育の面で,国として協力しています。キューバは、イタリアのトリエステ、WHOのPan American Organization 、ケネデイ教書、ブラジルのサントスでの実践などをモデルとしていたと言ってます。

 専門家の養成については、精神科医は 5年の教育の後、第2過程があり3年間、ソーシャルワーカー 専門学校3年、作業療法士 専門学校3年、精神科看護婦 大学(5年)か,専門学校(3年)で看護婦の資格を取得後、1年間の専門教育、心理療法士 大学5年の教育、などです。 

 キューバにおける精神保健政策は、保健政策の優先課題の1つになっています。優先順位は、感染性の疾患,母子保健,老人についで4番目です。精神保健の主な問題は、ホームレス,家庭内の暴力,自殺,老人、結婚前に妊娠した女性の問題(親が認めない)、慢性疾患者の問題などです。

 又、私達が話を聞いたハバナ大学病院では,健康増進とcrisis intervention(危機介入)を中心に行っており,ベッド数は16床。危機介入は、危機介入チームが組織され、行なわれています。そのチームは、精神科医2,研修医1、心理療法士1,ソーシャルワーカー1,看護婦2 からなっています。患者数は,平日10人から12人、土日6人ほどです。
毎週水曜日に会議を持って,そこで最終的な治療方針を話し合い決めています。鍼,ヨガ、指圧も取り入れています。

 精神保健システムも、勿論先に見た「ホームドクター制度」に基づいています。従って、医療圏が明確になっていて,第一次医療,第二次医療、第三次医療の3つに分かれています。

 第一次医療は,ポリクリニコ、精神保健センター(community center of mental health 主に予防,教育を担当している),第二次医療は,病院(総合病院の精神科,精神病院)、第三次医療は、精神保健の場合研究開発を主として行っているようです。精神保健センターは、まだ建設の途中でハバナ市では15地区のうち、現在5地区に作られています。

 キューバでは出来るだけ入院をさせない方針で、このように地域ケアに力を入れています。

 精神科医は現在4000人いる。これは日本の4倍にあたる。精神医療の水準は決して低くはない。

 薬は国内生産もしているが、ほとんど(80%)donation(寄付) に頼っているのが現状です。
精神医療の内容を見ますと、さすがに精神分析はどこでもおこなっていませんが、他のものはヨガ、鍼に始まり、自律訓練、EST(電気ショック療法)、AA(alcoholics anonymous 匿名のアルコールの会)など役立つものは柔軟に取り入れる姿勢を持っています。

 急性期の緊急入院は、法律による規定はなく、家族、政府、警察が参加して話し合って決めています。保護室はなく、ベッド拘束で対応しているようです。

 10代の問題としては、不適応や家族との葛藤(アルコールを飲酒する父)などが多くみられ、思春期の問題は、ADHD(注意欠陥症候群)が多い様です。

 精神科の診断は、DSMW(アメリカの診断基準)やICD10を使っていました。

5 訪問した精神保健施設
1 ハバナ精神病院(Habana psychiatric hospital)
 1857年に創立され,革命前よりあった広大な敷地(65ヘクタール)を持つ精神病院。その当時は,犯罪者,浮浪者なども収容されていて,ひどい扱いを受けていました。バチスタ政権の末期には、精神障害者ばかりではなく、そういう人達6500人を鉄格子の中に閉じ込めていたといいます。病院の中に、創立時以来の写真等を展示した博物館があります。4100床のうち,現在は50%が入院しています。夜だけ病院に泊まるナイトホスピタルもおこなわれていました。入院患者さんの平均年齢、41歳。平均在院期間は半年。50%が5年以内の在院です。スタッフ数は2000人で、そのうち,精神科医87人。一般科もあります。院長の Ordas  医師は、カストロらと共に革命戦争を戦った勇士。

 この病院では患者さんが6つのステップに分けられています(天明佳臣 1995)。
1 入院して診断し、治療方針を決めるまで 
2 治療を進める中で、病院の生活に溶け込むため、それぞれの患者さんのここでの役割(作業療法やクラブ活動)を決めるまで 
3 症状の改善が進み、病院の中でなら一人で行動できる段階の患者さん
4 病院から外部の工場などへ働きに出て夕方戻ってくる患者さん
5 勤務先の地域の病院へ転院して、そこで診察を受けながら、院外就労を続ける患者さん
6 自宅より通勤し、時々通院する患者さん。彼等はごくたまに検査のために来ることはあっても、ほとんど病院と関係がなくなり、ホームドクターとの付き合いになります。 

 入院は毎日10人程度。重い人(?)が入院する病院であると説明されました。それ以外の人は,地域でケアされています。
 作業療法(OT)棟を見学しました。ひとつの病棟では、ベッド数55で,49人が入院。病名は,分裂病,パラノイヤなど。昼間のスタッフの体制は、医師1、医師レジデント2、看護婦5、心理1,ソーシャルワーカー1です。夜勤は、看護婦2,テクニシャン(OT)1。作業は,機織り,焼き物,足拭きマットなど。
 病院の中ににプロのミュージシャンを中心に編成された楽団がありました。一部患者さんも参加。
 なおスタッフの給料を聞いたところ,医師 625ペソ(1ペソ=1ドル、125円 78125円)、
心理500ペソ,看護婦 400ペソ、ソーシャルワーカー 300ペソ、作業療法士 300ペソ でした。

2 National Mental Health Center(国立精神保健センター)     
 外国人(主にスペインや南米)と,内務省(軍)関係の家族を対象とした病院。疾患は、主にアルコール,薬物。入院ベッド数35、平均在院期間は45〜50日。スタッフは、医師10、看護婦26、心理5,ソーシャルワーカー3。一日の外来数45人,デイ・ホスピタルは、神経症15人,精神病15人。外国人を受け入れるため宿泊施設(自炊ができ,家族も泊まれる)があります。10日間で,あらゆる評価を行っています。その費用は2500jです。また一ヶ月の入院費用は3900jです。治療としては、精神分析は行わず、薬物療法、精神療法、集団療法、電気ショック療法、泥療法,鍼等を行っています。
 研究部門では、性障害,薬物乱用、薬草、自殺,暴力等が対象でした。また、3月15,16日にハバナ市で行われた「精神保健国際会議」の主催者ともなっていました。参加国は,キューバの他は,アメリカ,アルゼンチン、コロンビア,メキシコなど9カ国。

3 Santiago 総合病院
 サンチャゴ・デ・クーバには、他に700床の精神病院があります。この総合病院は2つの精神科の病棟(薬物依存、精神病)を持っています。薬物依存10、デイ・ホスピタル30、その他38 の計78床があります。薬物依存は、10日間で評価を行い、その後一ヶ月の治療期間があります。デイ・ホスピタルのスタッフは、医師2、看護婦1、心理1、サイコメトリー1、OT2。治療は、薬物療法、精神療法、リハビリテーションです。

4  Fajardo 総合病院・精神科 デイホスピタル

総合病院の精神科に所属しています。キューバで最初に作られたデイ・ホスピタルです。

 対象は神経症者で、一日50人。年間300人。 プログラムは、集団療法が中心で、他にアートセラピー、音楽療法,精神療法,心理劇、クラフト(手工芸)セラピー、運動療法,太極拳などをおこなっています。期間は3ヶ月、一日6時間、月曜日から金曜日まで行っています。治療期間中、仕事は証明書を発行してもらい休み、給料の70から80%が保証されています。スタッフは、医師2,看護婦1、OT2、ソーシャルワーカー1,心理1。私達が訪れたときは、波の音を聞きながらリラクゼーションをしていました。


4 精神保健センター community center of mental health
1 regla地区(ハバナ市15地区のひとつ)
 1990年までは,ポリクリニコでした。1991年に精神保健センターとなりました。スタッフは、医師4、看護婦12、心理2,ソーシャルワーカー2,福祉1、教師他。
  
2 ランパ地区
 2000年に出来ています。スタッフは、常勤は3人(ソーシャルワーカーの所長、医師,看護婦)だが、医師5(うち児童精神科医1)、看護婦1,心理2,ソーシャルワーカー4がいます。
 7種類の活動をしているー児童青年期、自殺企図への援助、ストレスの臨床、花から薬を作る活動、 アルコール・薬物依存、高齢者への援助、地域リハビリテーション(老人)です。こでは自律訓練、ヨガ、集団療法、AAを行っています。

5 CINSA
ハバナ市の中のポリクリニコ。医師6(うち精神科医2),看護婦7,心理その他,52人のスタッフが働いています。利用者は1日200人位。老人、女性、子どものためのプログラムがあります。夜はレストランを運営しています。医師,看護婦,心理のチームによる訪問も実施しています。私達が訪れたのは日曜日で、プログラマーの人がいただけで,彼から話を聞いたものです。

参考資料
1 天明佳臣 「1995年5月キューバ」 『神奈川労災職業病』 1995年
2 望月清隆 「キューバ医療視察・メモ」 『労働者住民医療』 1995年
3 海風書房編 「キューバ万華鏡−私のキューバ体験」 海風書房 2000年  
 
キューバスタディーツアー印象記 川上保之
 社会主義の国を初めて訪れた私がまず気づいたのは街に広告がないことの「清涼さ」であった。広い道路に沿って力強い緑が並び白っぽい家並みとのコントラストがさわやかさに満ち満ちている。通りを走る車も古ぼけたアメ車や旧ソ連の小型車が多くのんびりとした印象であった。最新のピカピカに磨かれたドイツ車が傲慢に走り回る欧米やアジアの大都市の状況とは明らかに違う街の印象であった。

 その国の精神医療事情はその背景となる文化を如実にあらわすところがあるが、ここで専門家として見てきたことも最初の町並みに旅行者として感じた印象通りの物であったと思う。地域の70家族を担当する家庭医がメンタルな問題の入り口を扱い、そこからsystematicに構成されるより上位の施設や機関が精神病の重症例や長期入院の精神障害を扱う態勢は大変整合性のある無駄のない精神医療を実践しているように思われた。また、人口が1200万人の国に4000人も存在する精神科医(日本では人口1億2000万人に約1万人)がそのsystemのいたるところでその場にあった仕事をしているともいう。Systemと量に支えられたこの国の精神医療は日本の現状を知る精神科医として頭で考えると理想的ではある。

 しかし、首都ハバナの4000床もある(入院者は現時点で2000名との説明)巨大精神病院での体育館のようなスペースで大勢の患者さんが黙々と続ける「作業療法」の現場を見ると、良かれと考えることを一点の曇りなく「施す」ことの多少の恐ろしさを「施される側」に立って感じたこともまた事実である。

 景色として見える「清涼さ」があくまで客観的な感想であり、清涼さの中にある当事者が果たして「清涼さ」をpositiveに体験しているかには疑問が残った。

 地方都市サンチアゴデクーバの街の広場でえんじ色のスカートと真っ白なシャツの制服を着た中学生の女の子達の集団を見かけた。皆すばらしい笑顔に輝いていた。日本ではもはや見ることのできない屈託のない笑い方や仲間意識の発現に感動した。
キューバ研修の帰路、資本主義の矛盾がその極みに達したといわれるメキシコの首都メキシコシティーに一泊した。この首都の大通りの交差点では、子ども達がさまざまな大道芸を信号待ちのドライバーに見せ生き残るための小遣いを稼いでいる。夕闇の中、ガソリンを口に含み勢いよく噴出させて火をつける少年がいた。もともとは純白であったろうTシャツは煤けてぼろきれの色合いになっている。案内人の制止を振り払い車窓越しに10ペソのコインを手渡した私の指先にガソリンの刺激臭が残り、この旅の最終章を彩る臭いとなった。
  
キューバ・レポート  山口乃生子
 最初に、私はスタディーツアーに参加された方たちとは違い、精神保健分野にはこれまで、ほとんど関わりがありませんでした。その私がキューバのスタディーツアーに参加したいと考えたのは、単純にキューバという社会主義国でありながらも、キューバ音楽や激しいダンスに代表される開放的な雰囲気に魅力を感じたことがきっかけでした。また、キューバの保健医療に関しては、1980年代の早い時期からキューバはAIDS対策を行い、教育・指導という名目で、HIV陽性者(無症候性キャリアを含めて)をサナトリウムに収容したことが有名であり、個人的に興味を持っていました。なので、「キューバの精神保健ケアが、収容や薬物治療に強く依存しないという地域開放を中心に展開している」と、SUMHのニュースレターに書いてあったのを見て、「本当かな〜」と多少の疑惑を持ちながらも、若干の期待を抱き、「これは行くしかないかな〜」と思ったのです。

 ここで私自身のことを書いておきますが、看護学校在学中から現在までハンセン病に関わり、長年に渡る日本の官医一体となった隔離主義がハンセン病者や回復者の心理社会的な問題を生み、法的な拘束が解けた現在もそれが未だ続いていることは、日本の精神保健の社会病理的構造に共通することであると思っています。地域開放化はどちらにとっても大きな課題であるからこそキューバの医療を実際に見たいと思い、今回のスタディーツアーに参加しました。

 キューバ訪問にあたり、医療者としてキューバの医療保健システムについては全く無知の状態でした。詳しいことは他の方とダブってしまうので省略しますが、コミュニティーでのホームドクターとポリクリニコと呼ばれる診療所が相互に提携し、予防を中心とした健康教育や調査を行うなど、地域の健康管理・促進を担当していることが印象に残りました。

 そのなかで、医者は医大を卒業後、このホームドクターを経験することが義務づけられていること、看護婦養成のトレーニング期間が3年と5年であり、ほとんどが学士を持っていること、更に5年コースの場合は、病気の診断ができるなど、医療者の質の高さに驚かされました。

 私は日程の都合上、地域のメンタルヘルスセンターは見学できませんでしたが、このような地域の基盤があるからこそ、患者が病院に依存しない、させない体制が作り出されるのかもしれません。また、精神の専門病院では、デイホスピタルを主として、薬物治療・精神治療・リハビリの3つのプログラムが行われているということでしたが、私たちが訪問した際は2人の薬物中毒患者を除いて、みな外出していました。精神科病棟だけではなく、ICUも見学させてもらいましたが、患者さんが1人しかおらず、病室に2人の看護婦らしい人がいただけでした。病院に患者さんが少ないのは喜ばしいことですが、何となく閑散としていました。 しかし、別の日に見学した軍病院では治療の一環として、音楽治療や薬草(ハーブ)治療、ファンゴ(泥)セラピーが行なわれているなど、リラクゼーションを導入し、利用者のリラックスに努める姿勢には、日本の病院も見習わなければならないでしょうね。話はやや外れますが、「ファンゴ(泥)セラピー」って何だと思いますか? 見学先の病院では実際には見られなかったのですが、私たちが泊まったリゾート型ホテルのサービスの一つとしてあったので、興味津々で試してみることに。驚いたことに、マッサージをするのは地元の看護婦ということで、お互いに親近感が沸いてしまいました。聞いてみると、長期滞在の宿泊者の健康管理も同時に行っているということで、通訳をしてくれたヨーロッパ人の年配のご婦人も3ヶ月滞在していると話してくれました。驚いたのは、24時間営業だとか。ちなみに2交替だそうです。ホテルに看護婦がいて、健康管理やマッサージをするなど、日本ではまだまだ考えられないのですが、面白い発想であるし、日本も産業看護の一つとして考えてもいいんじゃないかなあ……と考えていたら、ベッドに誘導され始めることに。ハーブ類を混ぜた泥を全身に塗りながら、抹消から中枢に向けてソフトタッチで筋肉をほぐすという感じで、終わると皮膚がしっとりした感じでした。マッサージの前後には血圧と脈を測定し、チャートに書き込んでいました。日本に比べると格安でできるので、キューバに行かれる方は是非お試し下さい。

 キューバでは、いくつかの施設を見学しましたが、どこの施設でも抗精神薬は他の国からの寄付で賄っていました。総合病院など、大きな施設にはCTやMRIなどの医療機器が充実し、また軍病院では海外からの患者受け入れ(麻薬中毒が多いそうですが)を行っているにも関わらず、経済封鎖の影響での物不足でしょうか、針や注射器などは滅菌・再生しているなど、やや矛盾した点もありました。このような医療品不足は社会主義国であるキューバが抱える問題のひとつであると感じました。

 途上国では、母子保健や結核対策などと比較すると、精神保健やハンセン病のような慢性疾患への対策の優先順位は低く、憐れみや救済の対象か、もしくは排除される対象でしかなく、病気をコントロールしながら、その人らしい生き方を選択できるという環境は少ないのです(日本も同様ですが)。心理社会的サポートが必要なのは海外だけではありませんが、海外の医療事情を見ることによって改めて日本のことも客観的に見つめ直すことが出来るのではないでしょうか。そういう意味では、このスタディーツアーで感じたことについて、私は日本の精神保健事情と比較することができませんが、積極的な地域化を目指すキューバの医療スタッフに対しては尊敬の念を抱かずにはいられませんでした。

 現地の医療スタッフとの交流は時間的な制限もあって、やや物足りなかった感がありますが、2回3回と続けていくうちに信頼関係も築いていけるのではないかと思うし、それを可能にさせるようなキューバ人の底抜けに明るく、ノリのいい人柄がとても印象的でした。人柄もそうですが、それを育むキューバの自然はもっと素晴らしく、とてもじゃないですが、言葉にはできません。また、ツアーの参加者のバックグラウンドも様々であり、偏っていなかったことも多くの気付きをもたらしてくれたと思い、感謝しています。
SUMHには今後もこのようなスタディーツアーを定期的に企画して頂きたいと願っています。

キューバ精神保健ケアシステム視察研修に参加して  共同作業所 Crazy Cats 照内央晴
 
今回、SUNH主催キューバ精神保健ケアシステム視察研修(以下スタデイツアーと略)に参加させて頂いた。精神医療ユーザー患者の照内というものである。SUMH事務局長・大賀達雄氏とは,病地学会や社会臨床学会その他の精神医療関係の(中では多少ともクセのある?)会で時々お顔をお見かけしており,たまたまお話した際に、今回のスタデイツアーの件を伺い、参加させていただく運びとなった。思えば不思議なご縁である。

 私にとっては初めての海外だったのだが,ご一緒させていただいた5名の方は皆さん気さくなお人柄で,それぞれ立場も精神科医、心理療法家ほか、精神医療に仕事で携わっておられない方までと幅広く,とてもリラックスした旅となった。キューバで訪問した7つの精神保健関係の施設に関しては,他の方から詳細な報告がなされると思うので,ここでは私にとって印象に残ったエピソードを記すことにした。

 Fajardo総合病院 のデイホスピタルは、キューバで初めて作られたデイホスピタルで,神経症専門。訪問時は丁度,ゆらゆらと揺れる椅子に座って波の音を聞きながらのリラクゼーションのひと時であった。デイホスピタルのメンバー,スタッフとのデイスカッション,交流のあと、移動のための車を待っている際に,デイホスピタル所長の老医が,「あなたが来たということが大切なのだ」と,私が患者という立場でありながらも訪ねてきたことに対し,内なる熱い思いを伝えられ,互いに抱き合うという一場面があった。この老医とは,言葉にすればほんの微かなことしか語り合っていないのだが,自分が“患者”という立場にアイデンテイテイ・拠り所を求めて生きてきた(来ざるを得なかった)今までの人生に対しての共感・ねぎらいとでも言うべきものを感じ,深く落ち着いた心持となったのだった。大変ありがたかった。丁度その時,父親に連れられた4,5歳の少女が道を通りたまたま目が合ったので,私も微笑みかけたのだが,ちらちらとこちらを振り返りつつ通り過ぎていった少女が,また小走りに一人戻ってきて,何かと思ったらお菓子をくれたのだった。精神医療関係以外の方との交わりの少ない今回のツアーだったが,とてもうれしく印象に残る出来事だった。

 私たちは限られた時間の中でという制約はあったが、それぞれの施設で中身の濃いお話を伺うことが出来たと思う。上述のエピソードのように心を打たれる出来事もあったし,勿論私の中で治療や「精神医療従事者―患者関係」などについて疑問に思ったこともあった。今の私にキューバの精神医療に関して評価を下すことは出来ないし,又それだけの判断材料もないのだが,お会いした精神医療関係の方々は総じてラテン的な陽気さをもちつつ真摯な対応をされたと思う。特に精神医療ケアシステムなどのハードに関しての理解とその言語化・討論の能力は全体的に高いという印象を受けた。逆に気持に起こった事を言語化する能力については,必ずしも高いと感じられなかったが,これは勿論,お国柄,他国語を翻訳してかいわし合わなくてはならないという問題,見知らぬ私たちに対する警戒心など様々な要因もあり,判断に留保が必要と思う。

 今後もキューバとの交流を保ちつつ,ツアーを継続して頂けたらと思う。その中で,キューバの精神医療の具体的な活動の中身についての理解が深まり,又キューバの精神医療ケアシステムの中で,日本でも活かすことの出来る部分がより明確になるとよいのではないかと思っている。

 空や海,木々などの自然,小鳥たち,又城塞などもとても美しく、食事も大変おいしかった。ご一緒した5名の方々とは,夜もよく遊びに出かけたのだが、特に歌、踊り、音楽を総合したトロピカーナショ−は、とても華やかで何より楽しいひと時であった。立場の異なる方々と一緒に旅をするということも、私にとってそう滅多にあることではないのだが、ご一緒させていただいた方々のおかげもあって、楽しくまた気づきの多い旅となったと思う。この場を借りてお礼申し上げたい。またこのように貴重なツアーを企画・実施されたSUMHにも感謝の意を表したいと思う。
(「おりふれ通信」誌に掲載の文に加筆・修正したものであることを付記する)

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  SUMH 報告会 in 京都 SUMH関西 山崎奈緒     
 私たち「途上国の精神保健を支えるネットワーク/Supporters For Mental Health」(以下SUMHと 省略)は、保健医療協力のなかでも、特にメンタルヘルスに焦点を絞って途上国での支援活動をおこなっていこうとする日本でも数少ないNGOである。日本における国際協力活動において、医療協力は重要な位置を占めるが、その中でメンタルヘルスを扱った支援というのはほとんど耳にしない。そこには、先進国である日本自身でさえ、精神保健行政が、フィジカルな面での医療技術が急速に進む中で、いまだ発展途上であると言わざるを得ないだろう。そのような状況下で私たち自身も学びながら、世界の中でも特に災害や紛争によるメンタルな問題を抱える途上国での支援活動を模索していきたいと考えるのである。

 ここでは、4月20日の夜、京都の河原町で開催した私たちの活動報告会(東京は23日)についてお伝えしようと思う。当日、あまりなじみのないトピックにも関わらず、13名の方が参加してくださった。現役の看護婦さんから、大学院生、学部生など、異なったバックグラウンドから関心を寄せて頂いたことを大変嬉しく思う。一時帰国していた代表の手林佳正が、私たちの最初のプロジェクトサイトになるカンボディアの現状を、2月に行ったキューバの視察研修旅行の報告を東京事務局長;大賀 達雄がスライドを交えて発表した。最後に質疑応答の時間を設けた。2つの問題を扱い、時間的な余裕も少なかったが、参加者からどちらの問題にも貴重なご意見・質問を頂戴することができた。

 カンボディアについては、ポルポト政権後、家族をなくした市民の多くが心の問題に悩まされ、辛い体験から今もPTSD(心理的外傷)を抱えている現状を、統計を交えて説明。今後わたしたちSUMHが進めていくプロジェクトの紹介とカンボディアの人々の生活にも触れた。 キューバの視察研修旅行(2週間)は、心理職関係者6名で合計6個所の施設を視察。日本の4倍も精神科医がいると言われるキューバでは、ホームドクターが定着し、その進んで行政システムには学ぶことが多い。それぞれの施設の特色など、なるべく入院を減らして地域ケアを強化している状況をお伝えした。

 また、初めての試みではあったが、手話通訳者2名にご協力いただき随時通訳していただいた。聴覚障害の方に対する配慮という点で、私たちにとっても大変勉強になった。

 私自身、様々な団体が催す講演会などに幾度となく参加してみたが、足を運ぶからこそ得られる、現場の声や参加者同士の交流は、インターネットで得た情報や、読んだ本よりも記憶に残るものである。交流を重視するという点では、やはり討論の時間をもっととる(今回は約25分)事が反省点である。メンタルヘルスは今後ますます注目されていく問題であり、どなたでも気軽に楽しく参加できるようなイベントを企画していきたい。

 また、宣伝・運営準備にご協力いただいた皆様、どうもありがとうございました。

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   ジェンダーと暴力という課題  手林佳正
 カンボディア政府女性省が専門NGOであるProject Against Domestic Violence(PADV)とともに行った世帯調査がある。プノンペン市と6州の2,764世帯を対象として、1,374人の女性と1,286人の男性から資料を得たものである。調査目的は家庭内暴力に関して、身体的な暴力のタイプと出現率・態度と理解・原因となる要因・児童虐待との関連、である。そして以下が明らかとなった。
1)73.9%の人が家庭内暴力のある家庭を知っている、
2)インタビューされた女性のうち16%が配偶者から身体的な虐待を受けたことがある、
3)男性のうち10%は配偶者に身体的な虐待をしたことがある、
4)暴力を受けたことのある女性のうち半数は外傷を負い、その半数は頭部の外傷である、
5)女性が親と同居している場合の出現率は8.3%と、半数である、
6)7.8%の男性と8.8%の女性が両親の間の身体的暴力を目撃したことがあり、うち98%は父が母に対してのものであった、
7)伴侶間の暴力を目撃したという男女はそれぞれ29.5%、23.7%と、統計的に有意に高く、暴力的である、
8)全女性のうち10%は伴侶が飲酒後に暴力的になるといい、暴力を受けた女性のうち50%は夫が飲酒中に暴力を受けたといい  、さらに怪我をしたと言う女性の65.7%は飲酒中と言う、
9)殴られた女性のうち25%は身体的に虐待を受けていると考えていない、
10)暴力を受けた女性のうち34%は助けを求めていず、32%は近隣に、11.8%は両親に、他の縁者には10.7%が助けを求めた、
11)67.5%の男女(女性の71.6%、男性の57.3%)は、懲らしめる方法として、子供はぶたれるべきと考えており、さらに怪我を負  った女性では92.4%となる、
12)夫婦ケンカの後に全女性の7.6%は子どもに暴力を振るい、その率は暴力を受けた女性では27.6%、怪我をした女性で      は35.8%とあがる、
13)女性の教育背景が中学校までの場合は暴力の要因としては同様だが、高校以上の場合は暴力の比率は下がり、怪我も同   様である、
14)カンボディアのほぼ100%の男女は、よい行いと悪い行いとを判断し、そして暴力はよくないと考えている、など。

 また、危機状況にある女性を対象に活動するNGO=CWCCのカンボディアにおける1998年1年間の女性に対する虐待の調査がある。信頼できる統計資料が少ない国なので、傾向はここから知ることができると考えられる。

虐待のタイプ
攻撃的な夫   56 95 101
家庭内で殺害された 12 31 13
家庭内のレイプ
一般的レイプ   38 17
性的売買 177 126 128
家庭内暴力に起因の自殺 34
他の女性に対する暴力 55 19
総計  381 296 255
(注)
1* マスコミ等 からモニター
2* CWCCが カウンセリング 
3* CWCCの シェルター 利用

 カンボディアの伝統的なジェンダーに対する認知を象徴的に示すことだが、1960年代の戸籍は妻の欄が4人分あったという。さらに、1970年からの30年間に渡る内戦や虐殺によって、暴力を拒否する閾値が高いものとなり、人口比において男性が少なくなり(40〜44才では100人の女性に対して65.5人の男性という性人口)、性倫理を含む価値観が混乱していったと考えられる。さらに市場経済化の導入という、過去の行動パターンの強制的な変容と、首相に見られるような強者の論理が1つのモデルとしてまかり通りようになって、ジェンダーの課題も目の前の課題として見えるようになっている。それらを、上記の2つの調査が示していると考えられる。

 今始まっているジェンダー課題被害者への相談によるサポートや、避難するシェルターの提供などの緊急的な支援や、私たちが開始した家庭内暴力の被害者へのグループカウンセリングによるサポートとともに、生活の中での人権意識を育てる教育(ジェンダーの項で述べた)や、法的な整備などが、今後の課題だと考えられる。

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長い内戦を経験したカンボディアの国際精神保健協力の現場を訪ねるスタディツアー −アンコール遺跡の街シュムリアップと首都プノンペン−

日程:12月16日から23日

12月16日(日) ガイダンス・夕食・宿泊。
17日(月) SUMHの活動とカンボディア精神保健状況に関する講義、ローカルNGOのCCMHS、州保健局などを訪問。
18日(火) シソフォンで活動する精神保健NGO、TPOを訪問。
19日(水) アンコールワット、タプロム、バンテアイスレイなどの遺跡を訪れる。
20日(木) 朝、シュムリアップからプノンペンへ空路移動。カンボディアにおけるNGOのアンブレラ組織であるCCC、シアヌーク病        院精神科外来、カンダール州病院児童精神科外来、などを訪問。
21日(金) プサーダムツカウ心理社会リハビリテーションセンターを訪問。午後は、国立博物館、王宮、ワットプノムなどを訪ねる。
22日(土) ツールスレーン虐殺博物館を訪ねる。午後フリー。
23日(日) 朝、宿泊先にて解散。

参加費用 11万円。
シュムリアップ集合・プノンペン解散。希望者には航空券手配を手伝います。
16日夕食から23日朝までの全食事、全飲み物(アルコールは除く)、移動費を含む。
見学研修費・資料費・アンコール遺跡入場料を含む。

申し込み方法:E-メイルか、Faxによる。
宛先は、SUMHシュムリアップ事務所、梅野、
Fax;+855−63−963356ないし、
SUMH@bigpond.com.kh
<mailto:SUMH@bigpond.com.kh>

申し込み期間;2001年9月末(第1次締め切り)と10月末(最終締め切り)。

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SUMHの会員になって、私たちの活動を支えてください。
年会費 一般(学生含む)3000円
      団体      10000円
送金方法郵便振替
口座番号00170-2-535294
加入者名 途上国の精神保健を支えるネットワーク
振替用紙に、住所・氏名・Tel&Fax・E-mail・会費とカンパの区別・SUMHへ一言を、記入ください。

2001年度の年会費の払い込みよろしくお願いします

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カンボディアの現地スタッフを募集しています
 次のような条件で、「現地スタッフ」を公募しています。
● 精神科リハビリテーション専門職1名 
 この分野の総合的な知識と経験を持ち、関連団体と連携しながら、英語で、それを技術移転できる人。心理、PSW,看護、OT等職種は問いません。精神科リハビリテーション教員養成講座の企画実施を担当。

 給料はSUMHの規定による。週5日勤務、年休3週間、日本との年間1往復交通費、3ヶ月間試用期間、2年契約延長可、医療保険と国民年金と支度金などは自己負担、現地語学研修費はSUMHが負担。
「SUMHシュムリアップ事務所(担当:梅野)までE-mailでご相談ください。
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SUMHカンボディア精神保健プロジェクトでは、長期ボランティア、長期インターンを受け入れます。3ヶ月以上が望ましいですが、SUMHシュムリアップ事務所(担当:梅野)までE-mailでご相談ください。
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 途上国の精神保健を支えるネットワーク SUMH= Supporters for Mental Health 事務局:153-0065東京都目黒区中町     1-25-16 Tel&Fax:03-3711-3461 E-mail :tojoukoku@geocities.co.jp <mailto:tojoukoku@geocities.co.jp> <http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Ayame/3428/> SUMHシュムリアップ事務所 Office:  No.233 Group 5 Mondul 3, Khum Slarkram, Siem Reap, Cambodia Postal Address: P.O. Box 93102 G P O Siem Reap Angkor, Cambodia Tel/Fax: +855-63-963356 E-mail: SUMH@bigpond.com.kh
編集後記 
 今年の東京の夏は猛暑。皆さんいかがお過ごしですか? SUMHニュースレター4号をお届けします。発行が大幅に遅れたことをお詫びしましす。次号は、カンボディアからお送りします。(O) 


9月12日(水) 速報 ハンスト中止 李京海さん 帰国
 李京海さんは、9/11(火)午後1:30成田発の飛行機で韓国へ帰ったそうです。
ハンストを続けていた李京海さんは、9/9 台風による大雨のため第2議員会館のロビーへ一時避難。
そこで、全羅北道知事と3人の仲間の議員が、李京海さんを説得。救急車で
慈恵医大病院へ入院。

 9/11 第2議員会館で集会を持ちました。
 李京海さんは大きな声で、
「小泉首相の靖国神社参拝は、憲法違反です。
 日本のみなさん、これを許して良いのですか」と訴えたそうです。

 以上、キリスト者政治連盟の方に電話で聞いた内容です。
 (ヨッシー)


沖縄の自然破壊をめぐるフォーラムのお知らせ

  沖縄には、独自に進化した生き物や、世界的にも貴重な自然が残され、「東洋のガラパゴス」といわれています。島々には、ノグチゲラやヤンバルクイナ、イリオモテ
ヤマネコやカンムリワシなど固有の生き物が生息し、海中には北半球で最大最古といわれる白保のアオサンゴ群落など、海の熱帯林が広がっています。最近、日本ではす
でに絶滅したと考えられていた海洋ほ乳類ジュゴンの生息も確認され、話題を呼んでいます。

 しかし、この生物多様性の宝庫である貴重な生態系も、1972年の「復帰」以来、日本政府によって莫大な予算が投入された公共事業や、米軍の軍事演習、さらには新た
な基地の建設計画によって、危機的な状況に陥っています。そこで、その恐るべき状況を確認し、私たちに何ができるかを考えるために、沖縄からのゲスト2人を交えて、
フォーラムを開催することにしました。以下に、その要領を記します。多くのみなさんが、ふるってご参加下さいますよう、お願い申し上げます。

      ************************************************************
             フォーラム「いま、沖縄の自然があぶない!」
    ――白保のサンゴ礁、ジュゴンの海、泡瀬の干潟、やんばるの森から――

 日 時  9月29日(土)午後1時15分開場、1時30分開演(終了5時)

  会 場   シニアワーク東京・地下1階の講堂
            JR・地下鉄―飯田橋駅より徒歩7分
              千代田区飯田橋3-10-3 (電話=03-5211-2310)

  プログラム
       1、講演
             琉球の自然―その特徴と重要性―
             伊藤 嘉昭(元沖縄大学教授)

        2、現場からの報告 〔沖縄の自然の危機的状況の報告〕
             *白保のサンゴ礁・・・八重山・白保の海を守る会
             *ジュゴンの海・・・・北限のジュゴンを見守る会
             *泡瀬の干潟・・・・・玉城美智子(泡瀬の干潟を守る連絡会)
             *やんばるの森・・・・平良克之(沖縄・やんばる・海)

        3、パネルディスカッション 
       沖縄の自然をどう守っていくか

 参加費  資料代・800円

  主 催  八重山・白保の海を守る会(E-mail:shiraho―kai@mail.goo.ne.jp
           北限のジュゴンを見守る会(http://www.hoops.ne.jp/~sea-jugon/


9月11日(火) 『サイバーアクション』出版記念トークイベント
みなさん、こんにちは。

◆9月12日(水) 出版記念トークイベント「社会運動はネットをどう活用すべきか」

明日9月12日(水)夜、
トークライブハウス・ロフトプラスワン(新宿歌舞伎町)にて、
本書の出版を記念したトークイベントが開催されます。
平日ではありますが、ぜひふるってご参加ください。

詳しくは、『サイバーアクション』公式サイトの
イベント・メディア情報をご参照ください。
http://wsf.miri.ne.jp/cyberaction/

津村 洋
Hiroshi Tsumura
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Cyber Action - For People's Social Movement 購読・宣伝・販売・書評大歓迎!
http://wsf.miri.ne.jp/cyberaction/
JS-Net: Japan - Sri Lanka Solidarity Information Network
http://www.ngy1.1st.ne.jp/~ieg/jsnet/index.html
TPCC-NS: Tokyo Peace Cyber Circle & Nago Supporter
http://www09.u-page.so-net.ne.jp/xj8/nago/
Associe 21 Media Staff
http://www03.u-page.so-net.ne.jp/yd5/associe/
Communist Association Future (COM-Future)
http://www.ne.jp/asahi/com/f/  com@f.email.ne.jp
IEG: "INTERNATIONALISM"(KOKUSAISHUGI) EDITING GROUP
http://www.ngy1.1st.ne.jp/~ieg  ieg@ngy1.1st.ne.jp 

道路交通法「改正」にかかわる政令素案について
 道路交通法の改正によって、以下のものについては、政令で定める基準に従い、免
許を与えず若しくは保留し、又は免許を取り消し若しくは免許の効力を停止すること
ができるとされました。これ自体おおいに問題であったのですが、私自身は何の闘い
もできませんでした。
次のような法文になったところです。
  1 次に掲げる病気にかかつている者
  イ 幻覚の症状を伴う精神病であつて政令で定めるもの
  ロ 発作により意識障害又は運動障害をもたらす病気で
    あつて政令で定めるもの
  ハ イ又はロに掲げるもののほか、自動車等の安全な 
    運転に支障を及ぼすおそれがある病気として政令で定めるもの
 2 アルコール、麻薬、大麻、あへん又は覚せい剤の中毒者
 3 第六項の規定による命令に違反した者
 
幻覚の症状を有する精神病には免許を与えないことができるという条文自体が問題で
あったのですが、今回警察庁がこの「政令」に関する部分の「素案」を作り意見募集
をしています。以下のページにありますが、欠格条項がなくなるどころか、いま免許
を持っている人間もとりあがられる可能性が高いないようです。
もちろん医者の診断書が必要となると医師との信頼関係は壊れますし、正直にしんど
いときやつらいときに症状を言うことさえできなくなります。
医者も非難を恐れて「安全に運転できる」という診断書を拒否していくことも考えら
れます。
地方にいると自動車がなければ、社会参加は経済的にも大いに制限されますし、もち
ろん通院にも困ります。
仕事上運転が必要な方も死活問題です。
もちろん精神科の病気だけではないし、かなり恣意的判断をされる内容もありますの
で、免許を取り上げるという恫喝ですべての国民を支配することも可能です。

これに逐条的具体的批判をいっても土俵にのるだけですから、抗議の声を集中すべき
かなとも思っていますが、今まだ私自身頭がまとまっていません。

インターネットと官報(?)だけで広報して、しかも期間1ヶ月では意見を聞いたと
いうことにはなりませんので、この期間にこだわる必要はないと思いますが、各地で
の討論ご意見をお寄せくださいませ。
長野英子
警察庁(ここの新着情報のところにあります)
http://www.npa.go.jp/


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